個人情報の漏えい確報を出すとき、速報から何を追加・更新するか

要点

確報では、速報の報告事項(1)から(9)までの全てを報告しなければならないと示されています。再発防止策は、実施済みの措置と今後実施予定の措置を分けて報告します。この記事では、前回から何が変わったかと、それを確かめた資料を対応づける準備の進め方を、当社の整理として示します。

公開:2026年11月3日/情報の確認日:2026年11月3日(出典はこの記事の最後)

この記事は、個人情報の漏えいの速報を出した後に確報を準備する小さな会社の担当者が、速報から何を更新するかを確かめる流れをまとめたものです。

公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月3日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。

例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。

1.速報の控えを起点に、更新する箇所を探す

速報は報告時点で把握している内容を報告すれば足りると、通則編のガイドライン(令和8年6月一部改正)に示されています。

ここからは当社の整理です。当社での準備は、提出済みの控えと、その後の調査記録を並べるところから始めます。前回の記載を残したまま、追加する事実、訂正する説明、確認が続いている事項を別の欄に書き出す方法です。最新の説明だけに書き換えると、変更の経緯が追いにくくなります。

担当者の聞き取りメモ、対象範囲を調べた記録、関係先からの回答、対応の完了を示す資料などを、更新内容と結びつけます。「何が分かったか」だけでなく、「何を見てそう整理したか」まで残すと、社内の確認者が元の資料へ戻れます。文章の整え直しは、その後に行う流れです。

2.調査結果を報告項目へ振り分ける

表の左欄は公式資料の報告項目で、通則編の3-5-3-3にある(1)から(9)までの事項に対応しています。右欄は更新の準備に使う観点です。提出書類の代わりに使う表ではなく、調査担当者から事務担当者へ情報を引き継ぐための整理に当たります。

公式資料の報告項目調査後に整理しておく内容
概要前回から判明した経緯、事実関係の訂正、根拠になる調査記録
漏えい等が発生し、又は発生したおそれがある個人データの項目対象に含まれる情報と、対象外と整理した情報の区別
漏えい等が発生し、又は発生したおそれがある個人データに係る本人の数対象者の重複を整理した集計と、その集計に用いた資料
原因調査で分かった発生原因と、推測にとどまる内容の区別
二次被害又はそのおそれの有無及びその内容寄せられた被害の情報、調査の結果、引き続き確認する内容
本人への対応の実施状況対応した内容と、その経過が分かる記録
公表の実施状況公表した内容の控えと、その後の変更内容
再発防止のための措置終えた対策と、今後行う対策の区別
その他参考となる事項ほかの欄だけでは伝わりにくい補足と関連資料

右欄の資料を集める役割は、事務担当者だけに寄せず、調査した人や対応した人にも分担します。事務担当者は項目ごとの不足をまとめ、調査担当者は根拠を添え、確認者は説明と資料の食い違いを見ます。兼務でも、どの役割で確認したかを残す運用は可能です。

同じ調査結果に関係する説明は、項目をまたいで見直すとよいです。対象範囲の変更を概要に反映しながら、対応の記録には以前の対象範囲が残る、といった食い違いを探します。文章を項目ごとに分担した後は、確認者が全体を通して読み、用語や範囲をそろえる工程を設けます。

特に、対象となる情報の範囲と対象者の集計は、同じ範囲を見ているか照合するとよいです。範囲を修正した記録と、古い範囲で作った説明が混ざらないよう、資料をまとめる時点をそろえておきます。

3.再発防止策は「対応した」で終わらせない

公式の不正アクセス事例の記入例には、今後実施予定の措置について、完了予定時期を記載する欄もあります。

当社の整理では、対策の名称だけを書いた状態から、担当する役割、実施の状況、完了を確かめる資料へと具体化します。「見直し」「教育」といった言葉だけでは、何を終えたのか、何が残るのかを読み取りにくいためです。実施の裏づけには、修正後の手順書、設定変更の確認記録、周知した文面の控えなどを対応づけます。

準備中の対策は、終えた対策の説明へ混ぜずに管理します。調査で分かった原因と、対策の内容を並べ、どの原因に対してどの変更を行うのかを確認する手順です。原因の説明が更新された箇所は、対策の説明も合わせて読み直す対象になります。

外部の調査担当者から専門的な説明を受けた部分は、事務担当者の推測で言い換えず、内容の確認を依頼してから整えるとよいです。対策の実施を決める役割と、実施済みと確認する役割も、社内で明らかにしておきます。

4.期限と、調査が終わらない場合の扱いを確認する

確報の期限は報告対象事態を知った日から30日以内で、不正の目的をもって行われたおそれがある行為による漏えい等では60日以内と示されています。法人では、いずれかの部署が事態を知った時点を基準とし、その時点を1日目として算定します。 算定には土日・祝日も含め、30日目または60日目が土日、祝日または年末年始閉庁日(12月29日~1月3日)の場合は、その翌日が報告期限とされています。

合理的努力を尽くしても一部が判明せず全事項を報告できない場合は、確報時点で把握している内容を報告し、判明次第、追完する扱いです。

当社の準備では、残っている調査の内容、確認を依頼した相手、回答の見通しを分けて残します。分からない部分を推測で埋めず、調査の経過を確認者へ引き継ぐためです。期限の具体的な算定や、個別の事案への適用は専門家に確認し、調査の進行予定と提出の予定を並べて管理します。

5.提出先と、前回報告とのつながりを確かめる

個人情報保護委員会の案内では、原則の報告先は同委員会で、権限が委任された分野では権限委任先府省庁等へ報告するとされています。同委員会の報告画面には、報告済みの事案について続報や修正報告を登録する入口があります。案内ページの参考用のWord様式は社内報告等に用いる資料で、報告には入力フォームを使うよう示されています。一方、ランサムウェア事案とその他のサイバー攻撃等事案では、関係省庁申合せに基づく共通様式で報告することも可能と、同じ案内ページに示されています。該当するときは、案内ページの提出方法を確かめます。

当社の整理では、前回の提出控え、今回の提出内容、変更箇所のメモ、提出後に受け取った受付内容をまとめて管理します。更新の元になった資料も同じ場所からたどれるようにすると、後から寄せられた照会にも経緯を確かめながら対応できます。

報告先や提出方法に迷う点は公式窓口へ、報告要否や対応義務の判断は専門家に確認します。事務担当者が引き継ぐ内容は、判断を求める論点と、その判断の前提になる事実関係です。

6.確認表

公開・共有の前に、この表で確かめます。

確認確かめること
□前回の提出内容と、その後に得た調査資料を対応づけて整理したか
□追加・訂正した内容と、引き続き調べている内容を区別したか
□対象となる情報の範囲と対象者の集計について、元の資料と照合したか
□対応や公表の経過が分かる控えを整理したか
□対策の完了と今後の予定を分け、担当する役割と裏づけ資料を確認したか
□提出先・期限・判断が要る論点を、公式窓口や専門家と確認したか
□提出控えと受付内容を、次の照会に備えて保管したか

7.自社の事務の手順まで形にしたいとき

ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。

自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、30分の無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。

出典(確認日:2026年11月3日)

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