紙の証憑をスキャナ保存へ変える前に確かめたい書類と保存要件

要点

移行前は、対象となる書類を仕分け、入力期限と保存後の機能を照合してから、担当と開始日を決めます。スキャナ保存には、画像を読める状態にすることに加え、真実性や可視性を確保するための要件があります。

公開:2026年11月4日/情報の確認日:2026年11月4日(出典はこの記事の最後)

この記事は、紙の請求書や領収書をスキャナ保存へ切り替えたい小さな会社の担当者が、対象の書類と保存の要件を公式資料で確かめる流れをまとめたものです。

公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月4日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。

例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。

1.紙の束をまとめて扱わず、対象と区分を分ける

国税庁の一問一答は令和8年7月版を使い、対象書類と保存要件を確かめます。 対象外の書類を仕分けるために一問一答で確かめると、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書などの計算、整理又は決算関係書類はスキャナ保存の対象外で、これ以外の国税関係書類が対象とされています。

書類の区分と運用を確認するために使うパンフレット「はじめませんか、書類のスキャナ保存」は、「令和6年1月以降用」と表示された令和5年7月の版です。 書類の区分では、重要書類の例に契約書・納品書・請求書・領収書が、一般書類の例に見積書・注文書・検収書が挙げられています。

書類名だけで移行の範囲を決めず、何の取引で使い、どのように受け取ったものかを並べると、相談する箇所が見えます。受け取った紙と、自社から渡した書類の控えも区別しておくとよいです。

電子取引で受け取ったデータを印刷した書面は、その書面を読み取ってもスキャナ保存の対象にはなりません。

2.受け取ってから保存するまでを期限に照らす

重要書類の早期入力方式では、作成または受領してから、おおむね7営業日以内に入力します。 業務処理サイクル方式では、最長2か月以内の業務処理サイクルを経過した後、おおむね7営業日以内に入力しますが、受領等から保存までの各事務の処理規程を定めている場合に限られます。

担当者が手元に持っている間も含め、受け取りから経理へ渡すまでの経路を書き出します。経理に届いた後の作業だけを予定に入れると、受け取った側の保留が見えにくくなります。出張中の書類や担当者の不在時に、誰へ渡すかも整理しておくとよいです。

一般書類で入力期間の制限なく入力するルールを採用する場合は、責任者や入力の順序・方法などの事務手続を明らかにした書類の備付けが必要です。 保存開始前に作成・受領した重要書類(過去分重要書類)をスキャナ保存する場合は、あらかじめ税務署に届出書を提出する必要があります。

以前から保管している紙の整理と、今後届く紙の受付は、作業の予定を分けます。過去の束まで同時に移そうとせず、対象と確認先をそろえてから着手範囲を決める考え方です。

3.画像の品質と、保存後にできることを別々に確かめる

読み取りは200dpi以上の解像度が要件で、令和5年度の税制改正で読み取り時の情報の保持が不要になっても、この解像度の要件は残っています。 重要書類の読み取りは赤色・緑色・青色それぞれ256階調以上が要件で、事務手続を明らかにした書類を備え付ける一般書類向けのルールでは、グレースケールでも読み取れます。 保存後の訂正・削除については、事実と内容を確認できるシステム等、または訂正・削除できないシステム等を使う要件があります。 訂正削除の履歴が残る、または訂正削除できないシステムへの保存だけでは、タイムスタンプの付与要件に代えることはできませんが、そのシステムが時刻証明機能を備え、入力期限内に入力したことを確認できる場合は、付与要件に代えることができます。

重要書類には、スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持が求められます。 画像が見えることと、あとから対応する記録をたどれることは、分けて確かめます。保存先の説明を読む際も、「撮影できる」という説明だけで確認を終えず、訂正時や検索時の動きを照合する進め方です。

検索は、取引年月日その他の日付・取引金額・取引先に加え、日付または金額の範囲指定と、任意の記録項目の組合せが要件ですが、税務職員のダウンロードの求めに応じられる場合は後者の範囲指定と組合せが不要です。

これは要件の抜粋です。読取時の設定や出力環境を含む全体の照合を終えてから、実際の運用へ進むとよいです。

4.担当者が替わっても確認をたどれる準備表を作る

ここからは当社の整理です。

準備表は、担当者を決めるだけでなく、その人が何を見て確認を終えたかを残すために作ります。次の表は導入準備のひな形です。担当欄には役割に対応する名前を入れ、確認結果には資料の保存場所も添えると引き継ぎに使えます。

誰がいつ用意するもの・残す記録
書類を受け取る担当現状を調べるとき書類名、受取方法、経理へ渡す経路
経理担当移行する範囲を決める前書類の一覧、迷う書類の見本、現在の保管場所
保存先を管理する担当保存先を選ぶとき操作説明、設定内容、確認した動きの記録
手順をまとめる担当開始前の打合せまで作業の順序、確認担当、不在時の引き継ぎ先
責任者開始範囲を確定するとき確認先の回答、採用した手順、開始日

操作説明を読んだだけの項目と、実際に動かして確かめた項目は分けて残します。回答待ちの項目を、確認済みの欄へ入れない運用です。説明と動きが異なった箇所は、どの操作で何が起きたかを記録すると、問い合わせの内容を具体的にできます。

また、同じ担当者が受付から保管まで行う場合も、作業の区切りを記録しておくと、途中で引き継ぐ相手が現在地を把握しやすくなります。確認が終わった項目だけを集めるのではなく、保留した理由と次の確認先も残す形がよいです。

5.迷う書類は、資料と運用案をそろえて専門家に確認する

対象の判断や保存方法の適否は、書類の見本と運用案を示して専門家に確認します。「画像にできるか」だけを尋ねるより、受取方法、作業の順序、保存先の説明を一緒に示すと、確認したい点が伝わります。

国税に関する相談は、各国税局の電話相談センターで受け付けています。 この相談案内は、制度についての確認先を探すために参照します。自社の書類については、確認したい箇所を絞り、専門家へ相談するとよいです。

相談後は、質問に使った資料と回答を結び付けて保存します。保管する紙の範囲や開始の予定を決めるのは、書類と手順の照合を終えた後です。

6.確認表

公開・共有の前に、この表で確かめます。

確認確かめること
□書類の名称だけでなく、受取方法と用途を一覧にしたか
□対象に含める書類と、別に確認する書類を分けて整理したか
□受け取りから保存までの期限と担当を、採用する方法に沿って確認したか
□読み取りの設定と、保存後の訂正・検索・出力の要件を照合したか
□以前から保管している書類について、必要な手続を確認したか
□専門家への質問と回答、採用した手順、開始日を記録したか

7.自社の事務の手順まで形にしたいとき

ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。

自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、初回無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。

出典(確認日:2026年11月4日)

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