労働条件通知書をメールで交付する前に本人と確認しておくこと
要点
労働条件のメール交付では、本人がその方法を希望していることと、受け取った記録を出力して書面を作成できることを確認します。担当者は、希望の返答、送付先、保存・印刷の確かめ方をまとめ、送信後の到達確認まで担当を決めておくとよいです。
この記事は、労働条件通知書をメールで送りたい小さな会社の担当者が、送る前に本人の希望・印刷や保存ができる形・届いたかどうかを確かめる流れをまとめたものです。
公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月4日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。
例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。
1.交付方法の資料と、記載内容の資料を分けて読む
確認日:2026年11月3日(掲載ページ・掲載資料を確認)
厚生労働省の案内では、一定の場合にFAXやSNS等による通知が可能になった施行日は、平成31年(2019年)4月1日です。一方、現在掲載されている公式Q&Aには、令和6年(2024年)4月1日から就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲などが明示事項に追加されたと記載されています。
ここからは当社の整理です。
このため、開始時の案内は交付方法の確認に使い、通知する内容は現在の案内と照らし合わせて準備する、という読み分けが大切です。この記事では交付前の本人への確認に絞り、個別の記載内容や労務上の判断は専門家に確認する前提で進めます。
2.「メールで受け取りたい」という本人の返答を確かめる
事業主向けリーフレットは、本人が電子メール等による明示を希望したか、個別かつ明示的に確認するよう案内しています。労働者向けリーフレットでも、希望する旨をメールや文書等ではっきり伝えるよう示されています。
担当者が集めたいのは、本人からの明確な返答です。「送付先を教えてもらった」「普段からメールで連絡している」といった周辺の情報と、今回の受取方法についての返答を分けて残すと、後で確認しやすくなります。返答が曖昧な段階では、担当者の推測で記録欄を埋めず、本人に聞き直す項目として残す進め方が考えられます。
本人が希望しない場合は、原則どおり書面を交付する扱いが事業主向けリーフレットに示されています。希望を尋ねるときには、紙で受け取る選択肢も伝えるとよいです。
3.受け取った内容を紙に出せる形で用意する
電子メール等による明示は、本人が受け取った記録を出力して書面を作成できるものでなければならないと、公式Q&Aに記載されています。事業主向けリーフレットでは、労働者の個人的な事情によらず、一般的に出力可能な状態であれば、出力して書面を作成できると認められるとされています。事業主向けリーフレットは、メール・SNSで明示する場合に、印刷や保存がしやすいよう添付ファイルで送る方法を案内しています。
事務上の準備としては、送付するファイルを開き、文字や表が途切れていないか、印刷した際に末尾まで読めるかを担当者が確かめておくとよいです。本人にも、受け取るファイルの開き方や保存・印刷で困る点がないかを尋ねます。こうした事前の確認と、出力できるという公式の条件そのものは分けて記録します。
4.準備の担当と、残す記録をそろえる
担当者が交代しても確認の続きが分かるよう、準備表に返答と未対応の項目をまとめる方法が考えられます。次の表は、誰が、どの段階で、何を用意するかを整理する例です。
| 誰が | いつ | 用意するもの・確かめること | 記録の置き方 |
|---|---|---|---|
| 事務担当と本人 | 受取方法を相談するとき | 本人が希望する方法と、その返答 | 返答の原文と確認した日を残す |
| 事務担当と本人 | 宛先を決めるとき | 本人が受け取る送付先 | 本人からの連絡と宛先欄を照らす |
| 作成担当 | 送付する前 | 送付するファイルと、保存・印刷したときの見え方 | 確かめた対象が分かる名前で保管する |
| 送付担当 | 送信を準備するとき | 宛先、添付するファイル、問い合わせへの対応担当 | 確認者と残った対応を記録する |
| 連絡担当 | 送信した後 | 本人に届いたか、開いて内容を確認できたか | 本人の返答と再連絡の要否を残す |
「確認済み」とだけ書くよりも、何に対する返答なのかが分かる形が便利です。希望についての返答と、ファイルを開けたという返答は、別の欄に残します。送付先を変更した場合も、前の宛先を見た担当者が誤って送らないよう、使う宛先をそろえておくとよいです。
本人の返答を残す場所と、担当者が作業状況を書き込む場所を決めておくと、引き継ぐ際に未対応の項目を拾いやすくなります。準備表は、返答の内容を書き換えるためではなく、返答を確認できる場所を示す用途で使います。
5.送信後の到達確認まで、交付の準備に含める
事業主向けリーフレットは、本当に到達したかを労働者に確認するよう案内しています。受信拒否設定が解除されていない場合など、本人が内容を確認できないことがあるとも記載されています。労働者向けリーフレットでは、いつでも労働条件を確認できるよう、自分で情報を保存するよう示されています。
送信前に、到達確認の連絡を誰が受け持つか、返答がないときに誰へ引き継ぐかをそろえておくと、送った後の対応を追いやすくなります。届いたかどうかと、開いて読めたかどうかを本人に尋ね、困っている点を記録する進め方です。
厚生労働省の改正案内ページは、労働条件が明示されないなどの相談先として、都道府県労働局の監督課と全国の労働基準監督署を挙げています。交付方法の扱いに迷う点や個別の労務上の判断は、本人への確認内容と公式資料をまとめて専門家に確認します。
6.確認表
公開・共有の前に、この表で確かめます。
| 確認 | 確かめること |
|---|---|
| □ | 本人に受取方法を個別に尋ね、明確な返答を確認したか |
| □ | 本人の返答を、後から読み返せる形で残したか |
| □ | 本人が受け取る送付先を照合したか |
| □ | 受け取る記録を出力して書面にできる形か確認したか |
| □ | 添付するファイルの見え方と保存のしやすさを確認したか |
| □ | 送信後の到達確認と、返答がない場合の対応担当を明確にしたか |
| □ | 判断が分かれる点を、専門家に確認する項目として整理したか |
7.自社の事務の手順まで形にしたいとき
ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。
自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、初回無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。
出典(確認日:2026年11月4日)
- 労働契約締結時の労働条件の明示 ~労働基準法施行規則が改正されました~:メール等による通知が可能になった施行日
- 採用時には、どのような労働条件をどの程度明示しなければならないのですか?:本人希望と書面出力の条件、追加された明示事項
- 事業主向けリーフレット「平成31年4月から、労働条件の明示がFAX・メール・SNS等でもできるようになります」:本人希望の確認、書面交付、出力可能性、添付、到達確認
- 労働者向けリーフレット「平成31年4月から、FAX・メール・SNS等での労働条件の確認ができるようになります」:希望の伝達方法と、本人による保存
- 令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます:労働条件の明示に関する相談先
関連する記事・ページ
- 業務効率化・業務改善は何から始める?
- 採用時の労働条件通知書に何をそろえるか
- 入社する従業員の社会保険資格取得届は何をそろえていつ出すか
- 社会保険用のマイナンバーを集める前に伝える利用目的と案内の準備
- 産休終了時の報酬月額変更届を出す会社が本人から受け取るもの
このページの確かめ方は、情報の確かめ方と更新の方針にまとめています。