退職所得の受給に関する申告書は何と照合?期間と他の支払を確認
要点
退職所得の受給に関する申告書には、退職手当の支払を受ける人の氏名や個人番号のほか、その年中に既に支払を受けた他の退職手当の金額や支払年月日、勤続年数などを記載します。在籍の記録と過去の支払書類を分けて用意し、日付や期間の食い違いを残すと照合が進みます。計算や適用の判断は専門家に確認します。
この記事は、退職する従業員から退職所得の受給に関する申告書を受け取る小さな会社の担当者が、様式の欄と社内の在籍記録・過去の支払書類を照合し、添付書類と保存期間まで確かめる流れをまとめたものです。
公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月5日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。
例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。
1.様式と提出時点をそろえる
公式資料の確認日:2026年11月5日。
国税庁「退職所得の源泉徴収事務」では、申告書を源泉徴収税額の計算の基礎とすることが示されています。提出時期は退職手当等の支払を受ける時までで、提出先はその支払者です。
手続案内では、令和8年1月1日以後の様式が案内されています。入力用PDFの本体には「07.06 改正」と記載されています。年の表示だけを書き換えて使い続けず、書き方の説明も含めて管理する形がよいです。
2.主な記載欄は、何の情報を受け持つか
主な欄の役割を整理すると、次のようになります。細かな内書や区分の説明は、様式に付いている書き方と合わせて読みます。
表の照合相手の列は、公式資料の欄ではなく、当社が事務の流れから考えた例です。
| 主な欄 | 記載する内容 | 照合相手 |
|---|---|---|
| 本人・支払者 | 氏名、住所、個人番号と、支払者の氏名・名称などを記載します。 | 本人の申告内容、社内の登録情報 |
| A欄 | 全ての人が記載する欄です。 | 本人の申告内容と在籍の記録 |
| B欄 | 本年中に他にも退職手当等の支払を受けた場合に記載します。 | その年の他の支払書類 |
| C欄 | 前年以前に様式で指定された退職手当等の支払を受けた場合に記載します。 | 過去の支払の種類と日付が分かる書類 |
| D欄 | A又はBの勤続期間に、前の退職手当等の勤続期間の全部又は一部が通算されている場合に記載します。 | 以前の期間を通算した経緯が分かる記録 |
| E欄 | B又はCの退職手当等がある場合に、併せて記載する欄です。 | 対応する支払ごとの書類 |
照合に使う資料は、本人から受け取る情報、社内の入退職・在籍の記録、過去の支払内容が分かる書類に分けると扱いやすくなります。資料の名称だけでなく、どの日付とどの期間を確認できるかを見ることが大切です。
3.日付と勤続期間は、欄の意味を分けて照合する
様式の「申告書の書き方」によると、①欄には退職年月日を記載しますが、会社の役員等で株主総会等の決議を要する退職手当等は、決議により支払額が具体的に定められた年月日を記載します。③欄は今回支払を受ける退職手当等の勤続期間と年数、④欄は本年中に支払を受けた他の退職手当等の勤続期間です。
退職の記録、支給の決定、実際の振込を別々に並べると、似た日付を取り違えにくくなります。入社時と退職時の記録を出発点に、過去の支払書類にある期間と突き合わせます。中断や通算の経緯があるときは、その経緯が分かる資料もそろえ、日付が一致しただけで確認を終えない運用がよいです。
たとえばC欄の⑵は、令和8年1月1日以後かつ前年以前9年内に確定拠出年金法に基づく一時金の支払を受けた場合(⑶の場合を除く)を扱い、対象の退職手当等を同日以後に支払を受けた前年以前9年内のものと、同日前に支払を受けた前年以前4年内のものに分けています。対象の全体は様式の同欄にある列挙と、裏面の書き方で確認します。受け取った年、支払の種類、支払日が分かる資料をそろえ、どの期間を記入するかは専門家に確認します。
4.記入前の照合メモを残す例
ここからは当社の整理です。
記入前の補助メモは、次のように確認済みの事実と返答待ちの情報を分けて書けます。
申告者:架空の退職者 在籍の開始と終了:社内記録との照合済み 過去の支払:本人への照会中 関連書類:受領待ち 食い違い:受領後に確認するため未判定 確認担当:総務担当 次の対応:返答と関連書類を受け取り、専門家へ確認
本人から返答がない状態を、該当しないことの確認済みとして扱わないようにします。書類にある日付と本人の説明が違うときは、どちらかへ書き換える前に、相違点と確認先を残すとよいです。補助メモを申告書の代わりにせず、受領した原本や照合資料へ戻れる形で管理します。
照合が終わった後も、何を根拠に確認済みとしたかが読み取れるよう、資料名と確認した担当を残します。返答待ちの項目には次の確認先も添えると、別の担当へ渡す際に同じ問い合わせを繰り返さずに済みます。
5.添付書類と保存期限まで引き継ぐ
様式の注意事項では、B欄の退職手当等がある人は、その退職手当等についての退職所得の源泉徴収票(特別徴収票)又はその写しを申告書に添付するよう案内されています。国税庁の手続案内では、退職手当等の支払者は、税務署長から特に提出を求められた場合以外は申告書を税務署へ提出する必要はなく、支払者が保管することになっています。
国税庁「給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間」によると、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間、令和8年1月1日以後に支払を受けるべき老齢一時金(確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金)に係る退職所得の受給に関する申告書は10年間の保存が必要です。保管場所、受領した版、差替えの経緯、未解決の照会先を引き継ぎに残します。処理済みの表示だけでは、後から何を照合したかが分からなくなるためです。
6.確認表
公開・共有の前に、この表で確かめます。
| 確認 | 確かめること |
|---|---|
| □ | 使う様式と書き方の版を確認したか |
| □ | 本人情報を受領した資料と突き合わせたか |
| □ | 在籍の開始・終了と、過去の期間を分けて確認したか |
| □ | 他の支払について、本人の返答と書類の有無を記録したか |
| □ | 添付書類の受領状況と食い違いを残したか |
| □ | 計算や適用の判断が必要な点を専門家に確認したか |
| □ | 保管場所と保存期限、引継ぎ先を決めたか |
7.自社の事務の手順まで形にしたいとき
ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。
自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、初回無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。
出典(確認日:2026年11月5日)
- 退職所得の源泉徴収事務(147ページ「退職所得の受給に関する申告書」):書類の役割、本人・支払者などの主な記載事項
- A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告):提出時期・提出先、令和8年1月1日以後の様式案内、支払者の保管
- 退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)入力用:本体の改正表示、A〜E欄、前年以前の支払の区分
- 退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)・申告書の書き方:退職年月日の例外、今回と他の支払の勤続期間、添付書類
- No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間:保存期間の起算日と7年・10年の違い(令和8年4月1日現在法令等)
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