合理的配慮申出シートには何を書く?困り事と希望・開示範囲の欄

要点

社内で使う項目案は、申出者と記載日、困る場面と仕事への影響、できること・助けになる工夫、希望する対応、情報の開示先と内容です。本人が希望を書く欄と、担当者が話合い後の対応を残す欄を分けます。希望がまだ具体的でない状態も記録でき、誰に何を伝えるかまで確認できる形に整えます。

公開:2026年11月5日/情報の確認日:2026年11月5日(出典はこの記事の最後)

この記事は、合理的配慮の申出を受けるための社内シートを作りたい小さな会社の担当者が、困る場面・希望・開示範囲の欄と、本人との話合いや更新の記録を分ける流れを確かめるためにまとめたものです。

公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月5日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。

例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。

1.公的な採用向け様式は対象を区切って読む

千葉県の掲載ページは、令和9年度の新規採用候補者向けで、病院局・教育庁・警察本部の新規採用者を対象から除いています。千葉県の「合理的配慮申出シート(新規採用職員向け)」は、障害や難病、その他の心身の不調等の状況と希望する配慮を把握し、職場での配慮や調整を検討するための書面です。

ここからは当社の整理です。この採用向け様式を一般企業の共通の提出条件として扱わず、社内の書式を考える際の参考例に位置付けます。受験時の管理や県の組織を前提とする欄をそのまま移すより、本人の困り事を聞き取り、対応を話し合う目的に合わせて項目を選ぶ考え方です。個別の配慮の適否や労務上の判断は、公式資料を踏まえて専門家に確認します。

2.困り事・希望・開示先を別々の欄にする

下表は、社内向けの項目案です。公式様式の記載事項をそのまま転載した表ではありません。左側の項目名だけで記入を求めず、「何を書くか」を欄の近くに短く添えると、本人の説明と担当者の受け止めのずれを見つけやすくなります。

項目案何を書くか書き間違えやすい点
申出者・所属・記載日本人と連絡先を照合できる情報、記入した日受付日や対応を始める日と混ぜない
困る場面どの業務や環境で困るか性格や印象の評価だけにしない
仕事への影響聞き取りにくい、手順を追いにくいなどの具体的な支障困る場面と、周囲が推測した原因を混ぜない
できること・助けになる工夫取り組める作業、本人が使っている伝え方や進め方苦手なことだけで欄を埋めない
希望する対応・相談したいこと困り事を減らすために希望する方法、まだ決まっていない点希望を会社の決定事項として記録しない
開示する相手・情報・本人の意向誰に、どの内容まで伝えるか、避けたい共有先や内容シート全体の共有と、対応に必要な内容の共有を混同しない
本人への確認事項書かれた内容で意味を確かめたい点と返答担当者の解釈で本人の記述を置き換えない
話合い後の対応記録話し合った内容、対応担当、開始予定、継続して確認する事項受付した状態と、対応が決まった状態を区別する
更新の記録確認した日、変わった内容、次に確認する予定古い希望を現在の希望として引き継がない

本人が記入する部分と担当者が記録する部分には、欄の区切りを付けます。「担当者記入欄」と示せば、本人が会社側の対応まで書き込む迷いを減らせます。記入を補助した際も、本人の話をまとめた文章と担当者の検討事項を混ぜず、本人に内容を確かめる形がよいです。

3.記入例は場面から希望までを短くつなぐ

「説明を分かりやすくしてほしい」だけでは、どの場面で何に困るかが伝わりにくくなります。場面と支障を先に置き、希望する伝え方を続ける形が考えられます。以下は、本文中の項目案に沿った短い記入例です。

困る場面:口頭で作業変更が続けて伝えられるとき。
仕事への影響:変更前と変更後の手順が混ざり、作業を止めて聞き直すことがある。
助けになる工夫:文字になった手順を見ながらなら、内容を確かめて進められる。
希望する対応:変更した箇所を短いメモでも受け取りたい。
開示する相手・情報:業務を指示する上司には、口頭の説明にメモを添えてほしいことを伝えたい。
まだ相談したいこと:周囲に伝える内容と、メモの受け取り方。

この記録には、会社が対応を決めたという意味を持たせません。担当者は本人の表現をもとに、どの作業で使う方法か、伝え方にほかの希望があるかを聞き取り、話合いの記録につなげます。例と同じ表現を求めず、本人が説明しやすい言葉で残せる余白も設けるとよいです。

4.希望が具体的でない状態も受け止める

障害者雇用促進法第36条の3は、事業主は、雇用する障害者である労働者について、障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならないと定め、ただし書で、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときはこの限りでないとしています。同法第36条の4第1項は、事業主は、募集・採用時(第36条の2)と採用後(第36条の3)の措置を講ずるに当たっては、障害者の意向を十分に尊重しなければならないと定めています。

厚生労働省の合理的配慮指針では、採用後について、希望する措置を具体的に申し出ることが困難な場合は、支障となっている事情を明らかにすることで足りるとしています。指針は、事業主に対し、障害者への合理的配慮の提供が必要であることを確認した場合、どのような措置を講ずるかについて本人と話合いを行うことを求めています。同じ指針は、障害者が希望する措置の内容を具体的に申し出ることが困難な場合は、事業主が実施可能な措置を示し、本人と話合いを行うこととしています。

書式では、希望の欄に「相談して決めたい」「困る場面は説明できるが、方法はまだ分からない」といった状態を残せるようにします。空欄をそのまま「希望なし」と読む運用にせず、本人に確認した内容を別欄へ記録する形です。

話合い後の記録には、本人が申し出た内容、会社側から示した案、その時点で決まったこと、引き続き確かめることを分けて残します。受付担当のメモだけで内容が決まったように見せず、本人と確認した記録を引き継げる構成にします。

5.共有する内容と更新の記録を分けて持つ

千葉県のシートでは、記載情報を厳重に管理し、本人が同意した範囲内で、任命権者の人事担当者、職場の上司、同僚、職場支援員(業務上の補助者)および研修関係者に共有するとしています。合理的配慮指針では、採用後の相談者のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その措置を講じていることを労働者に周知することを求めています。

社内の運用案としては、受付時に本人と「伝える相手」と「伝える内容」を照合し、担当者が見られる原本と、業務の調整に使う連絡内容を区別します。閲覧できる担当者、保管場所、共有した相手を管理する記録も組み合わせると、口頭の引継ぎだけに頼らずに済みます。本人の意向に変更があった際は、誰に伝わった情報を見直すかも確認する形です。

指針は、障害の状態や職場の状況が変化することもあるため、事業主に対し、必要に応じて定期的に、職場で支障となっている事情の有無を確認することを求めています。

更新用の欄には、本人に確かめた日と変更内容を残します。以前の記入を上書きするだけで済ませず、どの時点の内容かを追える形がよいです。困り事が続いているか、希望する方法に変化があるかを聞き取り、書式を受け取った後の確認につなげます。保存や廃棄の扱いは社内で決める課題として管理し、労務・個人情報の扱いに関する判断は専門家に確認します。

6.確認表

公開・共有の前に、この表で確かめます。

確認確かめること
□困る場面と仕事への影響を分けて記入できる欄にしたか
□できることや助けになる工夫も書ける形にしたか
□希望が未定であることや相談したいことを残せるようにしたか
□開示する相手と伝える内容を本人と照合する欄にしたか
□本人の申出と担当者の検討・決定の記録を分けたか
□受付担当、閲覧範囲、保管場所を決めたか
□確認日と変更内容を残し、次の確認につなげる欄にしたか

7.自社の事務の手順まで形にしたいとき

ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。

自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、初回無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。

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