社内FAQの作り方|問い合わせを集め、答えを決めて更新する手順
要点
社内FAQは、問い合わせを集め、同じ答えで対応できる質問をまとめ、担当者が根拠を確認して公開する流れで作ります。更新する人と見直すきっかけまで決めておきます。FAQは、よくある質問と答えをまとめたものです。
この記事は、同じ質問が何度も来て困っている小さな会社の総務・事務の担当者が、社内FAQを、問い合わせの集め方から更新の決まりまで作るための整理です。
公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月2日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。
例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。
1.最初に決めるのは「答えを承認する人」です
総務の受け付け担当が文章を書けても、備品の注文先や申請先を決められるとは限りません。「文章を整える人」と「答えを承認する人」を記録するところから始めましょう。
厚生労働省が公開するモデル事業説明会資料には、重要な問い合わせや頻出する問い合わせをFAQにまとめ、随時更新し、参照資料も整理する運用が示されています。
この資料は自治体向けモデル事業の資料です。以下の手順・表・指示文は、中小企業の総務による備品案内を題材に、本稿用に作成した架空の運用作例です。国が定めた標準や、実在企業の導入事例ではありません。
作って終わる運用には、更新の担当がいません。回答者ごとに違う説明を残す運用には、承認者がいません。古い答えを掲載し続ける運用には、見直すきっかけがありません。この作例では、それぞれを記録欄にして管理します。
2.メール・チャット・口頭の質問を同じ台帳へ
作例では、直近のひと月を収集範囲とします。期間は作業を区切るための仮設定です。公的な推奨期間ではありません。
総務宛てのメールと社内チャットを確認し、口頭の質問は受けた担当者が要点を追記します。FAQ用の台帳には、質問の原文に近い言い回し、困った場面、伝えた回答、回答の根拠、受付経路を記録します。
「紙がない」「用紙補充はどこに頼むのか」といった言葉は、後でFAQを探す手がかりとして残します。一方、メールの署名、社員の私生活、相談の詳細など、案内の作成に不要な内容は転記しない運用にします。元の記録は、閲覧できる人を限定した元の保管場所で扱います。
台帳の分類は、最初は「備品」「設備」「社内書類の置き場」のように、質問の行き先が分かる粒度にします。回答が見つからない質問も消さずに「根拠を確認中」として残します。
3.似た言葉より「同じ行動を案内できるか」でまとめる
質問の表現が近いだけで統合せず、回答を読んだ社員が取る行動で分けます。次は、備品に関する架空の分類例です。
| 集めた質問 | まとめ方 | 確認する相手 |
|---|---|---|
| コピー用紙を注文したい/用紙の補充は誰に頼むのか | 用紙の補充依頼として統合します | 備品管理の責任者 |
| 用紙の在庫がなく、今使う分がない | 通常の補充とは分け、急ぎの連絡先を確認します | 備品管理の責任者 |
| 用紙はあるが、プリンターが紙を送らない | 設備の不具合として分けます | 設備の管理担当 |
回答が食い違う質問は、文章を先に統一しません。総務の受付担当が、食い違う説明と根拠資料を並べ、備品管理の責任者に確認を依頼します。
責任者が決めた内容を台帳へ戻し、承認した人と日を残します。根拠の資料がない場合は、責任者が承認した運用メモを用意する作例とします。口頭の了解だけで公開せず、確認できる記録を残すためです。
「多く寄せられる質問」と「回答が決まっている質問」が重なるところから公開します。判断待ちの質問は公開候補に残し、承認済みの答えと混ぜないようにします。
4.質問・答え・根拠をセットで書く
以下は架空のFAQ記入例です。表中の資料名や運用も、この作例のために作ったものです。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 質問 | コピー用紙が少なくなりました。補充はどこへ頼みますか。 |
| 答え | 共有の「備品依頼表」に品名と使用する置き場を記入し、総務へ知らせてください。今使う分がない場合は、総務窓口へ直接連絡してください。 |
| 根拠の資料 | 備品管理の責任者が承認した「用紙補充の運用メモ」の「依頼先」。保存場所も併記します。 |
| 更新日 | 答えを変更して公開した日を記入します。 |
| 担当 | 更新:総務の受付担当/承認:備品管理の責任者。実際に担当する人も記録します。 |
| 見直し予定 | 次の総務の定例確認日を記入します。 |
| 状態 | 承認済み・公開中 |
| 探すための言葉 | コピー用紙、紙、用紙補充、注文 |
答えの冒頭に依頼先と行動を書き、その後に急ぎの場合の扱いを添えます。「所定の方法で申請してください」だけで終わらせず、どの記録を開くのかが分かる文章にします。
この作例では、FAQは「補充をどこへ頼むか」に答える役割です。発注から納品までの長い作業説明は、マニュアル側に置きます。FAQの根拠欄には、その説明がある箇所を記します。外部の顧客への返信文は扱いません。
5.変更が起きたら、旧回答と公開中の回答を分ける
作例では、依頼先の変更、備品依頼表の移動、責任者の交代を見直しのきっかけにします。総務の定例確認でも、根拠資料を開けるか、未承認の質問が止まっていないかを確認します。
更新の順序は、根拠の変更確認、回答案の修正、責任者の承認、公開中の回答の差し替え、変更の周知です。文章を書き直しただけで、承認済みの表示には変えません。
旧回答は削除せず、変更理由と承認の記録を添えて管理者用の履歴へ移します。社員が通常見るFAQ一覧からは外します。回答本文を各部署のメモへ複製せず、公開中のFAQの保存場所を案内する運用にします。
まだ答えが決まっていない変更では、古い案内をそのまま残しません。「確認中」と連絡先を表示し、変更予定の案と、現在使える回答を区別します。確認済みで内容が変わらなかった日は、更新日とは別の「確認日」に記録します。
6.AIには整理と下書きを頼み、公開の判断は担当者が行う
個人情報保護委員会の注意喚起は、個人情報を含む入力について、特定した利用目的の達成に必要な範囲かを十分に確認するよう示しています。
同委員会の事例集は、個人データを含む入力について、サービス提供者が機械学習に利用しないこと等の確認が必要としています。
問い合わせをAIへ渡す前に、担当者が入力する内容と社内の利用ルールを確認してください。個人情報の扱いについて判断が必要な場合は、上記の公式資料を示して専門家に確認します。
この作例では、原文のメールやチャットをそのまま渡さず、個人情報や機密情報を含めずに整えた質問と、入力が認められた根拠資料の必要箇所を使います。指示文も架空の作例です。
質問を、案内する行動が同じものごとに整理してください。通常の依頼と急ぎの依頼は分けてください。回答案は添付の根拠資料に書かれた内容だけで作り、参照した見出しを示してください。資料にない答えは「要確認」とし、申請先や期限を補わないでください。
担当者は回答案を根拠の該当箇所と照らし、依頼先や急ぎの場合の扱いが変わっていないかを見ます。根拠がない回答は、文章が整っていても承認待ちに戻します。
公開前には、次の確認表を使ってください。
- [ ] 質問を読んで、どんな場面の案内か分かりますか。
- [ ] 似た質問をまとめた結果、違う行動まで混ざっていませんか。
- [ ] 答えを承認した人と、根拠の資料を記録しましたか。
- [ ] 更新日、見直し予定、更新担当を記入しましたか。
- [ ] 社員が見る一覧から、古い回答を外しましたか。
- [ ] 答えが見つからないときの連絡先を示しましたか。
まずは総務宛ての問い合わせから、備品の依頼先に関する質問を抜き出してください。同じ行動で答えられる質問をまとめ、備品管理の責任者に根拠と回答を確認してもらうところまで進めましょう。
7.社内FAQを作るときの確認表
公開・共有の前に、この表で確かめます。
| 確認 | 確かめること |
|---|---|
| □ | 答えを承認する人を決めた |
| □ | メール・チャット・口頭の質問を、1か所の台帳に集めた |
| □ | 同じ行動を案内できる質問を、1つにまとめた |
| □ | 各FAQに、質問・答え・根拠・更新日・担当を付けた |
| □ | 変更が起きたときに、古い回答を公開から外す決まりを作った |
| □ | AIの下書きは、公開の前に担当者が根拠と照らした |
8.自社の事務の手順まで形にしたいとき
ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。
自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、30分の無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。
出典(確認日:2026年11月2日)
- モデル事業説明会資料(オンライン資格確認ログを活用した自治体モデル事業に関する資料):冒頭のFAQ作成・更新・参照資料の整理。PDF末尾「5-5. ナレッジ管理」。根拠の一文(該当部分):「FAQにまとめ、
- 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等:「AIには整理と下書きを頼み」の個人情報の利用目的。本文の(1)①。根拠の一文:「特定された当該個人情報の利用目的を達成
- クラウドサービスで提供されている生成AIサービスに関して個人データをプロンプトに入力するに当たり留意すべき点は何か。:「AIには整理と下書きを頼み」の機械学習利用の確認。根拠の一文(該当部分):「当該個人データを機械学習に利用しないこと等
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