男女間賃金差異の公表へ、給与担当に依頼する資料の範囲と対象期間

要点

給与担当へは、原則として直近の事業年度の賃金資料と、同じ事業年度の人員数を確認できる資料を依頼します。依頼前に専門担当と対象期間・集計方法をそろえ、開始日と終了日、必要な内訳、返却期限を明記する流れです。

公開:2026年11月6日/情報の確認日:2026年11月6日(出典はこの記事の最後)

この記事は、男女間賃金差異の公表に向けて給与担当へ資料を頼みたい小さな会社の担当者が、対象の事業年度・資料の範囲・人員数と賃金の内訳・受領後の照合を確かめる流れをまとめたものです。

公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月6日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。

例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。

1.依頼の起点は、終了した事業年度

確認日:2026年11月6日

厚生労働省のページでは、令和8年4月1日施行の改正女性活躍推進法により、常時雇用する労働者が101人以上300人以下の事業主についても、新たに男女間賃金差異が情報公表の必須項目になると案内されています。301人以上の事業主については、令和4年7月8日から男女間賃金差異の情報公表が義務づけられています。

101人以上300人以下の事業主が初めて行う情報公表については、令和8年4月1日以後に最初に終了する事業年度の男女間賃金差異を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表する必要があるとされています。算出及び公表の方法の通知では、例えば令和9年3月末に事業年度が終了する事業主は、おおむね令和9年6月末までに初回の公表を行うこととなると示されています。

初めて資料を集める際は、専門担当に自社の対象年度を確定してもらい、その開始日と終了日を依頼文に転記します。昨年分や前期分といった呼び方だけでは、受け取る側が想定する期間とずれるおそれがあります。

算出の基礎資料は、賃金台帳、源泉徴収簿等です。事業年度が4月~翌3月で源泉徴収簿を使う場合は、年度がまたがる2年分を用意し、事業年度に対応した期間内の支払額を合計します。必要な期間を抽出できる資料かどうかまで、給与担当とすり合わせるとよいです。

公表は、各事業年度が終了し新たな事業年度が開始した後、速やかに行うものとされ、その「速やかに」は各事業年度が終了した後おおむね3か月以内とされています。資料の返却期限は、公表前の照合と確認の時間を残して社内で設定します。

2.給与総額と組になる、人員数と賃金の内訳

公表には、全労働者・正規雇用労働者・非正規雇用労働者の3区分が必要です。給与の合計だけを受け取ると、指定された区分に分け直すための情報が足りないことがあります。男女別・区分別に集計できる形を専門担当に指定してもらいます。

賃金には、賃金、給料、手当、賞与その他名称を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのものが含まれます。手当や賞与が別の資料で管理されているときは、給与の一覧と突き合わせられる形で受け取るとよいです。

退職手当と通勤手当等は、個々の事業主の判断により賃金から除外して差し支えありませんが、取扱いは男女で共通にしなければなりません。除外の判断は専門担当に委ね、事務側は項目ごとの内訳を残します。

パート労働者の人員数を正規雇用労働者の所定労働時間等を参考として換算した場合は、換算した旨を明記する必要があります。人数を数える基準日や換算の有無も、依頼前に決めておく項目です。

情報公表は、事業主の雇用する労働者について、本社・本店等の主たる事業所と支社・支店等の従たる事業所を通じて行うもので、主たる事業所についてのみ行えば足りるものではないとされています。拠点ごとに給与資料を保管している場合は、依頼の送り先と回収状況を一覧に残すとよいです。拠点間でも対象期間の指定をそろえ、資料の不足と重複を確かめてから集約します。

3.給与担当への依頼は、期間と返却物を組にする

ここからは当社の整理です。

依頼文の冒頭には、専門担当が確定した対象期間と集計範囲を書きます。そのうえで、資料の抽出を担う人と、受け取って照合する人を分けて記録すると、確認の戻し先が明確になります。社内で兼務する場合も、役割ごとに確認した記録を残す形です。

担当いつ用意するもの・返すもの
労務の専門担当資料を依頼する前対象期間の開始日・終了日、対象者の区分、集計方法、除外項目の指定
給与担当指定を受けた後指定期間の給与・賞与と項目別内訳、抽出条件、集計元の資料名
人事担当給与資料の準備と並行して在籍状況、入退社・休業・区分変更の履歴、人数の確認に必要な記録
事務担当受領時と差替え時不足・重複・期間のずれの一覧、質問先と回答、採用した資料の版
公表の責任者内容確認が終わった後確認済みの集計結果、公表予定日、掲載する内容の承認記録

依頼の項目は、元の資料に含まれているものと、追加で作ってもらうものに分けます。すでにある資料で足りる部分まで、作り直しを求める必要はありません。

返却時には、元の資料名と抽出条件も添えてもらいます。対象期間のほかに、対象者の絞り込みや集計項目を記録しておくと、別の担当者が同じ条件で確認しやすくなります。

4.受領後は、計算より先に期間と不足を照合する

受け取った資料は、先に依頼文と照合します。期間の開始側・終了側に必要な記録がそろっているか、給与と賞与の資料に対象者のずれがないか、集計元をたどれるかを見ます。合計額の大小だけでは、期間の取り違えや資料の抜けは判断できません。

人数の資料と支給額の資料は、同じ対象者を照合できる状態にします。対応しない行があれば理由を問い合わせ、回答前に削除や補完をしない扱いにするとよいです。判断が必要な行を分けておくことで、資料の不足と集計方針の未決定を混同せずに進められます。

差替えが届いた場合は、変更された箇所と理由を残します。確認に使う資料をそろえたうえで、集計結果と確認時の資料を対応させて保管する流れです。元の資料と加工後の表を分けておくと、後から差を調べる際にも参照先が明確になります。

5.決算期の変更や対象者の扱いは、専門家に確認

解釈事項の通知では、事業年度を変更した場合は、終了した変更後の事業年度が1年未満であっても、その終了後おおむね3か月以内に情報公表を行う必要があります。通常と長さが違う期間を、事務側で埋め合わせて集計する前に、対象期間と説明内容を専門家に確認します。

同じ通知では、年度途中の入退社者は、原則として、女性活躍推進法に基づく他の情報公表項目に関する従前の対象労働者の取扱いと同様にしてよいとされています。入退社・休業・区分変更などの履歴は判断材料として渡し、今回の対象に含めるかは専門担当・専門家に確認する流れです。

算出及び公表の方法の通知では、公表方法は、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」への掲載が最も適切とされ、自社ホームページへの掲載等も妨げられていません。事務担当は、確認済みの集計結果と掲載内容を責任者へ引き渡します。

6.確認表

公開・共有の前に、この表で確かめます。

確認確かめること
□専門担当に対象期間の開始日と終了日を確認したか
□給与・賞与の資料と人員数の資料の対象期間を照合したか
□必要な区分別・男女別の集計に使える内訳を受け取ったか
□人数の数え方と除外項目を専門担当に確認したか
□不足資料や判断が必要な行について、確認先と回答を記録したか
□資料の返却期限と、公表までの照合・承認の予定を共有したか

7.自社の事務の手順まで形にしたいとき

ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。

自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、初回無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。

出典(確認日:2026年11月6日)

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