電子取引データの訂正・削除時に何を記録し、どう保存する?

要点

電子取引データの訂正・削除について、国税庁の法人向け規程例では、申請書と完了報告書を後から履歴を確認できる形で保存し、その期間を対象データの保存期間が満了するまでとしています。

公開:2026年11月4日/情報の確認日:2026年11月4日(出典はこの記事の最後)

この記事は、電子取引データを訂正・削除する必要が出た小さな会社の担当者が、申請・承認・完了報告の記録と保存の流れを確かめるためにまとめたものです。

公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月4日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。

例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。

1.根拠にする規程例の範囲を確かめる

国税庁の現行の案内には、「電子帳簿保存法一問一答」の電子取引関係として令和8年7月版が掲載されています。同庁の参考資料ページでは、訂正及び削除の防止に関する事務処理規程を、法人の例と個人事業者の例に分けて掲載しています。

版の掲載状況を確認するために現行の案内ページを使い、規程例の区分を確かめるために参考資料ページを参照しています。ここでは、法人向けの規程例を使い、訂正・削除が必要になった後の記録と確認の流れを扱います。一問一答の問33は、規程をどこまで整備すればデータ改ざん等の不正を防ぐことができるのかについて、事業規模等を踏まえて個々に検討する必要があるとしています。自社で採る保存方法や責任者の体制との対応は、公式資料を示して専門家に確認します。

2.申請する内容と処理後に残すもの

法人向け規程例では、業務処理上やむを得ない理由で訂正・削除する際の申請書に、申請日、取引伝票番号、取引件名、取引先名、訂正・削除日付、訂正・削除内容、訂正・削除理由、処理担当者名を記載します。

同じ規程例では、管理責任者が正当な理由を認める場合のみ申請を承認し、承認後に処理責任者へ訂正・削除を指示します。処理責任者は、処理した取引情報に訂正・削除履歴がある旨の情報を付け、「取引情報訂正・削除完了報告書」を作成して管理責任者に提出する流れです。申請書と完了報告書は、履歴を事後に確認できるよう整然と保存し、その期間は対象の取引データの保存期間が満了するまでとされています。

これらの記載項目と保存の扱いを確かめるために、一問一答の法人向け規程例を参照しています。

3.受付・承認・処理・報告を担当でつなぐ

ここからは当社の整理です。

担当者が誤りに気付いた時点で、対象のファイルをその場で書き換えず、まず対象と事情を整理します。依頼を受けた人と、承認する人、実際に処理する人が同じ認識を持てるようにするためです。元のデータを勝手に変えることを避け、確認の済んだ対象と範囲を処理担当へ渡します。

次の表は、社内で役割を割り当てる際の整理です。

段階担当として決める役割用意・確認するもの
受付問題を見つけた担当対象の所在、気付いた内容、依頼の出所を整理
申請準備処理を取りまとめる担当対象、変更の内容、理由を照合し、申請へまとめる
承認の確認社内で承認を担う責任者申請内容と承認の記録を照合し、処理範囲を伝える
処理指示を受けた担当承認された対象と範囲を見ながら処理し、結果を記録
報告・保管報告を受ける責任者と保管担当申請と結果の対応、保存先、引き継ぐ内容を確認

承認を待っている案件と、処理を終えた案件は、状態が分かるよう区別します。承認されたという記録だけで、処理が完了した扱いにしない運用です。責任者へ確認を求めるときも、対象の場所と申請内容を一緒に渡しておくと、口頭の説明だけに頼らずに済みます。

予定していた処理と結果に違いが生じた案件は、そのまま完了へ進めず、差異を責任者へ戻して扱いを確かめます。依頼を受けた担当の判断で変更範囲を広げず、処理の対象と承認の内容が対応する状態を保ちます。

4.記録から対象と経緯をたどれるようにする

保管の際は、申請した対象、承認の記録、処理結果を相互にたどれるようにまとめます。記録を見る人が元の経緯を知らなくても、「何を対象に、どの理由で、誰の確認を経て、どの処理をしたか」を追えることが目安です。対象を識別する情報と保存先を組み合わせ、同じような件名の資料と区別できるようにします。

処理内容の欄には、変更前後の違いを読み取れる説明を残すとよいです。理由の欄では、その変更を必要とした事情を整理します。内容と理由を同じ短い言葉で済ませると、何を変えたのかと、なぜ変えたのかを読み分けにくくなります。

保管後は、記録を開くところから対象を探し、対象から関連記録へ戻れるかを確かめます。担当者の記憶に頼らずに確認できるかを見る作業です。見つからない資料を発見した際は、保管を完了した扱いにせず、所在の確認を担当へ戻します。

引き継ぎには、保管場所に加え、確認待ちの案件と、その確認を受け持つ人も残します。保留中の案件を完了した記録に混ぜないことが、次の担当者の確認につながります。

5.処理の前に専門家へ確認する点を分ける

訂正や削除をしてよいかの判断と、承認済みの処理をどう記録するかは、担当する役割を分けて考えます。担当者は、判断の材料となる資料と、処理の記録を整理するところを受け持つ方針です。処理を必要とする事情の説明だけで、その処理が認められると判断しない扱いにします。

確認を依頼する際は、受け取った状態のデータ、訂正・削除が必要と考えた事情、相手方とのやり取り、自社の保存方法と現行の決まりをそろえます。責任者や専門家が同じ資料を見て検討できるようにするためです。判断が済むまでの間は、確認待ちの事項と確認先を記録に残します。

処理を認められる理由か、元の資料と変更後の資料をどう扱うか、いつまで保存するかは、前述の公式資料と個別の資料を示して専門家に確認します。回答を受けた後も、担当者への処理の指示と、実際の結果が対応しているかを確かめることが大切です。

6.確認表

公開・共有の前に、この表で確かめます。

確認確かめること
□対象の所在と内容を確かめ、承認前に元のデータを変更することを避けたか
□申請に書く対象、処理の内容、理由、担当者の情報をそろえたか
□責任者の承認と、処理担当への指示を確認したか
□承認の内容と実際の処理結果が一致するか照合したか
□履歴がある旨の表示と、完了の報告を確認したか
□申請、承認、処理結果を関連付け、保存先と保存の終期を確かめたか
□判断を要する事項と確認待ちの案件を、責任者や専門家へ引き継いだか

7.自社の事務の手順まで形にしたいとき

ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。

自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、初回無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。

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