情報セキュリティ自社診断表は何を確かめる?回答根拠の残し方

要点

情報セキュリティ自社診断は、対策状況と問題点を把握するために使います。 質問と回答に、確認した資料・対象範囲・確認日・担当者を対応させ、残る課題も添えるのが、ここで提案する記録方法です。

公開:2026年11月4日/情報の確認日:2026年11月4日(出典はこの記事の最後)

この記事は、IPAの情報セキュリティ自社診断に答える小さな会社の担当者が、回答ごとに確認した資料・範囲・日付・担当者を残す記録の作り方を整理するためのものです。

公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月4日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。

例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。

1.診断票の質問は、設定・行動・周知に及ぶ

確認日:2026年11月3日。

IPAの「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」は、診断項目への回答を通して自社の対策状況を把握するツールです。 配布元が公開しているガイドライン本体は第4.0版です。 この記事で対象にする付録の診断票は、巻末に「2026.6 Version 6.0」と記載されています。

診断票には、データの共有設定を必要な人に限定しているかを確かめる質問があります。 電子メールやFAXの宛先の送信ミスを防ぐ取り組みも確認対象です。 従業員への情報セキュリティ教育や注意喚起も質問に含まれます。

この記事では、回答とその根拠を記録する方法を扱います。安全認証や法令適合の判定は対象にしません。

2.回答の隣に、根拠へ戻れる欄を設ける

公式の質問文と回答の選択肢を保ち、社内用の補助記録を別に用意します。質問の内容を短く書き換えると、何を確認した回答なのか分からなくなるため、原文と照合できる形がよいです。補助記録には資料名だけでなく、確認した範囲と、その時点で分かった状態も残します。

下の表は、共有範囲に関する質問に添える補助記録の例です。実際の記入時には、それぞれの項目に対応する回答根拠へ置き換えます。

記録する欄何を書くか架空の記入例書き間違えやすい点
対応する診断項目公式票の項目番号と質問文共有範囲の質問を公式票から転記質問の一部だけで判断しない
回答公式票で選んだ回答現物の確認後に公式票から転記未確認のまま実施済みとしない
確認対象・範囲確認した機器、保管場所、部署など総務の共有保管場所限られた確認を全社に広げない
回答根拠見た資料と確認結果の要約利用者一覧と担当者の説明を照合資料名だけで終わらせない
根拠の保管先関係者が資料をたどれる場所管理者用の点検記録保管場所閲覧できない場所を指定しない
確認日現物や資料を見た日点検した日を記入記録を清書した日と混同しない
確認者・確認先記入者と、状態を説明した担当記入は総務、設定確認は管理担当記入者を管理担当と取り違えない
残る課題・次の確認不足する確認、担当、確認予定別部署の利用者一覧を管理担当へ照会未対応と未確認を混ぜない

この例は補助記録の書き方を示したもので、回答自体は埋めていません。資料をそろえて対象範囲の状態を確認してから、公式票の回答を選び、その理由を補助記録に残す流れです。

3.「誰が言ったか」から「何を見たか」へ進める

担当者の説明を聞く際は、現在の状態を確かめられる資料や現物も合わせて見ます。「対応していると聞いた」という記録だけでは、後任者が同じ回答を再確認しにくくなります。確認した資料の名称、対象、分かったことを短くまとめておくと、聞き直す相手も定まります。

また、ルールが書かれていることと、運用されていることを分けて記録します。規程を読んだ段階では「ルールの存在を確認」、現場で扱いを確かめた段階では「運用を確認」と書き分ける方法があります。規程だけを根拠に、実際の運用まで確認したことにしないための整理です。

根拠を見つけられない状態と、確認した結果として未対応だった状態も区別します。前者は照会先と確認予定を、後者は残る対応と担当を記録することで、次に進める作業が変わります。記入担当だけで結論を埋めず、現物を管理する担当者との照合につなげます。

4.根拠資料は、診断表からたどれる場所で保管する

回答根拠は、診断表の中にすべて貼り付ける必要はありません。診断表には確認結果の要約を残し、詳しい資料は閲覧できる相手を決めた保管場所にまとめる方法があります。保管先には、資料名や対象範囲を添え、同名の資料があっても取り違えにくくします。

担当者の交代時に確認できるよう、個人だけが使える場所に依存しないことも運用上の工夫です。ただし、根拠資料を広く共有することを目的にはしません。診断表を読む相手と、詳細資料を見る相手を分け、管理状態の確認に必要な範囲で閲覧できるようにします。

認証情報そのものを回答根拠として転記する運用は避けます。資料を添える際も、関係のない情報まで複写するのではなく、何を確かめるための資料かを記録します。外部へ示す資料は、社内で保管する根拠一式から、提出目的に応じて選び直す扱いがよいです。

5.変更後は、影響する回答と根拠を更新する

自社診断を終えた後は、残る課題に確認先と担当を付けます。「対応予定」とだけ書くより、次に何を見れば回答を見直せるかまで残すと、点検の続きに取りかかりやすくなります。対応の完了と、その状態を確認したことは分けて扱います。

機器の入れ替えや担当者の交代、社内ルールの変更があったときは、関係する回答と根拠を読み直します。前回の回答を上書きするだけでなく、変更前の記録を残し、どの資料を見て判断を変えたかも記載します。前回と違う回答になった理由を後から説明するためです。

診断票を取り直した際は、質問と回答欄の変更も確かめます。以前の質問への回答を、そのまま新しい質問に当てはめないよう、対象資料を補助記録と結びつけて保管します。点数の記録だけで区切らず、回答の理由を見直せる状態までを社内の作業範囲に含める考え方です。

6.確認表

公開・共有の前に、この表で確かめます。

確認確かめること
□対象にした診断票と、その版の表記を記録したか
□公式の質問文と回答の選択肢を照合したか
□回答ごとに、根拠資料と確認結果を対応させたか
□確認した対象範囲を、全社の状態と取り違えていないか確認したか
□確認日、確認者、状態を説明した担当を記録したか
□未確認の課題に、照会先と次の確認を付けたか
□根拠資料の閲覧範囲と、変更後に見直す担当を決めたか

7.自社の事務の手順まで形にしたいとき

ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。

自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、初回無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。

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