褥瘡ケア計画書の事務担当は何を回収し、誰へ渡す?
要点
事務担当の役割は、専門職が記入した評価と計画、説明・同意の記録、更新後の書類をそろえ、内容の確認者と保管担当へつなぐことです。回収状況だけでなく、誰の確認を待っているか、どの版を使うかも残します。評価やケアの内容は記入者に確認し、事務側で補わない流れにします。
この記事は、褥瘡ケア計画書の回収と受け渡しを後任へ引き継ぎたい介護事業所の事務担当者が、評価や計画を事務で補わずに、回収する書類・確認先・使う版を確かめる流れをまとめたものです。
公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月4日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。
例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。
1.書類の名称と、内容を決める人を確かめる
厚生労働省の「令和6年度介護報酬改定について」のページには「別紙様式5」のスクリーニング・ケア計画書が掲載されており、回収する書類の名称を確かめる入口になります。
褥瘡マネジメント加算の基準では、褥瘡が認められた人や発生リスクがあると評価された人について、医師、看護師、介護職員、管理栄養士、介護支援専門員などが共同して計画を作成することが示されています。岡山県が掲載している別紙様式5にも、評価の結果、褥瘡がある場合や発生リスクが高い場合に計画を立案し実施する旨が記されています。同じ様式には、内容と計画の説明を受け、理解した上で実施を希望する旨の欄があります。
ここからは当社の整理です。事務の引き継ぎでは、この役割分担を踏まえて、書類を集める人と、記載内容を確かめる人を分けておくとよいです。事務担当が見る範囲は、対象者と書類の対応、受け取り状況、記入者への確認事項です。危険性の程度や予防・治療の方針は、事務の判断で書き足さない運用にします。
2.元の記録、回収する書類、渡す先を対応させる
引き継ぎ用の一覧には、完成した書類だけでなく、その内容を照会できる元の記録の所在も残します。原記録をすべて複写して添付する形にせず、施設内で認められた保管先を参照できる形が考えられます。次の表は、回収と受け渡しの運用例です。確認者や担当の名称は、施設内の分担に合わせます。
| 元の記録・情報 | 回収・所在を確認するもの | 内容を確認してもらう先 | 受け渡しの記録 |
|---|---|---|---|
| 専門職が記入した評価の記録 | 対象者と評価時点が対応した評価部分 | 評価した専門職、取りまとめ担当 | 受領日、照会先、確認待ちの箇所 |
| 関係者が検討した計画と変更の連絡 | 記入済みの計画部分 | 計画を取りまとめる専門職 | 使用する版、確認者、確認済みの範囲 |
| 本人・家族への説明に関する記録 | 説明・同意を確認できる書類の所在 | 説明を行った担当者 | 確認済みか、担当者への照会中か |
| ケアの実施後に残された記録 | 見直し時に参照する記録の所在 | 計画の見直しを担う専門職 | 参照先、確認を依頼した相手 |
| 更新後の計画と、更新前の計画 | 差し替え対象の書類と旧版の保管先 | 現場の共有先、保管担当 | 配布先、受領の有無、旧版の扱い |
例えば、評価部分を受け取っても計画部分が届いていない状態は、書類全体を「回収済み」にせず、どこまでそろったかを分けて記録します。説明の記録も、担当者に依頼した段階と、確認が済んだ段階を区別すると、後任が次の連絡先を探しやすくなります。
ここでいう渡す先は、施設内の内容確認先と共有先です。外部への提出については、責任者が確認した対象と宛先を別に管理する運用案にしています。
3.空欄と日付の食い違いは記入者へ戻す
受け取った書類は、対象者が対応しているか、記入者と確認先が分かるか、評価と計画の対象時点が取り違えられていないかを見ます。内容の正しさを判定する作業と、書類の不足や対応関係を確かめる作業を分けておくことが大切です。
空欄は、記入漏れのほかに、該当しない項目や記入者の確認を要する箇所である可能性もあります。事務側で「なし」に置き換えたり、前の計画から写したりせず、該当箇所を示して記入者へ照会する扱いが考えられます。返答待ちの箇所は、回答者と戻ってきた内容を対応させて残します。
日付についても、書類を受け取った日を評価日や計画作成日に転記する運用は避けます。専門職が記入した日付と、事務が記録する受領日・配布日には、それぞれ何の日か分かる欄名を付けるとよいです。
訂正の連絡が口頭で届いた際は、対象の書類、訂正箇所、記入者の確認結果をそろえてから共有へ回す流れにします。事務担当が聞き取った言葉を、評価結果やケアの指示へ置き換えないことも引き継ぎに含めます。
4.更新前後の版と、次の確認時期を残す
褥瘡マネジメント加算の基準では、計画に従った管理の内容や本人の状態を定期的に記録することが示されています。同加算の基準では、評価に基づき、少なくとも三月に一回、本人ごとの計画を見直すことが示されています。令和6年度改定の留意事項通知(新旧対照表の新の欄)では、計画の実施上の問題があれば、直ちに見直すことも示されています。
次の確認時期は、専門職が決めた見直しの予定を受け取り、回収予定に反映させます。制度上の周期と施設内の回収予定を混ぜず、どの予定を誰が決めたかを分かる形にします。状態の変化などの連絡を受けた際の確認先も、取りまとめ担当へつながるようにしておくとよいです。
更新時は、受け取った日だけで新旧を判定せず、記入者が使用を確認した版を一覧に記録します。旧版に上書きする形より、更新前の内容、更新後の内容、確認者を追える形が引き継ぎに向いています。過去の書類を保存する扱いと、現場で使用する書類の扱いも分けておきます。
計画が更新された後は、配布先ごとに差し替えの状況を確認します。書類を作成した人から受け取った段階で止めず、共有を受ける側がどの版を受領したかまで残す運用です。
5.受け渡しを終える条件と、迷ったときの確認先
回収の完了は、書類が手元に届いたかだけで判断せず、内容を確かめる担当へ渡り、その返答を反映した書類が所定の保管先にあるかまで確認する形が考えられます。未回収、内容確認待ち、訂正待ち、共有待ちを区別しておくと、後任に依頼すべき作業を伝えやすくなります。
保存先には、現場で使用する版と、更新履歴をたどるための書類の置き場を記録します。誰が閲覧・更新するかは施設の責任者とそろえ、受け渡しのために別の保管場所を増やす際も、管理の担当を決めておくとよいです。
判断に迷う点は、内容、書類の運用、制度の適用に分けて確認先へ回します。評価や計画の内容は担当の専門職へ、保管や共有の方法は施設の責任者へつなぎます。制度の適用や外部提出の扱いは、出典に示した公式資料を添え、所管の窓口や専門家に確認します。照会の回答と確認した相手を残しておけば、同じ疑問が出たときにも経緯をたどれます。
6.確認表
公開・共有の前に、この表で確かめます。
| 確認 | 確かめること |
|---|---|
| □ | 対象者と、回収する評価・計画の対応を確認したか |
| □ | 記入者、内容の確認者、書類の取りまとめ担当を確認したか |
| □ | 空欄や日付の食い違いを、事務で補わず記入者に照会したか |
| □ | 説明・同意の記録の所在と、担当者の確認状況を確認したか |
| □ | 次の見直し予定と、回収予定の決定者を確認したか |
| □ | 使用する版、配布先の受領状況、旧版の保管先を確認したか |
| □ | 未回収・確認待ちの項目と、次に連絡する相手を記録したか |
7.自社の事務の手順まで形にしたいとき
ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。
自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、初回無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。
出典(確認日:2026年11月4日)
- 令和6年度介護報酬改定について|厚生労働省:回収対象となる様式の正式な掲載名
- 厚生労働大臣が定める基準(第七十一号の二)|厚生労働省:関係職種による計画作成、管理内容の記録、見直しの周期
- 指定地域密着型サービス等の留意事項通知(抄)・別紙様式5(岡山県掲載):巻末のスクリーニング・ケア計画書にある計画立案の条件と説明・実施希望の文言
- 短期入所サービス・特定施設入居者生活介護及び施設サービスの留意事項通知(抄)・別紙2|厚生労働省:新旧対照表の新欄にある、実施上の問題が生じた際の見直し
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