仕事で生成AIの文章・画像を使う前に確かめる著作権のポイント
要点
仕事で生成した文章や画像を使う前は、入力する素材の出所と許諾、使うサービスの規約、公開する内容と既存の作品との関係を分けて確かめます。生成できたことだけで利用を決めず、確認した資料と修正の経緯を残す整理が役立ちます。個別の法的判断は専門家に確認します。
この記事は、AIで作った文章や画像を資料・ホームページ・チラシに使いたい小さな会社の担当者が、使う前に著作権の面で何を確かめるかを、文化庁の資料をもとに整理するためのものです。
公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月3日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。
例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。制度や規約の内容は出典の公式ページで確かめ、個別の判断は専門家に確認してください。
1.文化庁の資料は、学習と生成・利用を分けています
文化庁の案内ページには、令和6年3月15日付の「AIと著作権に関する考え方について」が掲載されています。 その概要資料は、「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」では行われる著作物の利用行為や関係する条文が異なるため、分けて考える必要があると整理しています。
また、AI生成物が「著作物」に当たるかという点も、別の問題として分けて考える必要があるとしています。 「考え方」自体には法的な拘束力がなく、特定の生成AIや関連技術に確定的な法的評価を行うものではないことも明記されています。
当社の整理として、資料を読む際は、学習のために素材を集める話なのか、文章や画像を生成して使う話なのかを最初に見分けます。さらに、生成物を自社の権利として扱えるかという問いも分けて置くと、何を調べるべきかが整理しやすくなります。
2.入力する素材の出所と、使いたい範囲を並べます
入力する前に、素材がどこから来たか、誰に何を確認したかを並べておくとよいです。自社で用意した資料と、外部から届いた素材を同じ扱いにせず、出所まで戻れる状態を目指します。
文化庁のチェックリストは、利用規約等に他人の著作物の入力を禁止するような制限がある場合を挙げ、利用前の規約確認と遵守を求めています。
次の表は、入力する素材と、利用予定を照らし合わせるための整理例です。表の記載だけで入力や公開の可否を判断するものではありません。
| 用意した素材 | 確認のために手元へそろえるもの |
|---|---|
| 自社で撮った写真 | 撮影を担当した人、撮影時の取り決め、写り込んだ作品についての情報 |
| 外部へ制作を依頼した図版 | 制作時の契約、利用を認められた範囲、追加の確認先 |
| 購入した画像素材 | 購入元の利用条件、予定している加工や掲載先との対応 |
ここから先の作業では、「社内の検討用」「ホームページに掲載」「印刷して配布」のように用途を具体的に書きます。素材の入手元だけを記録して終えるよりも、予定する使い方を添えておくと、担当者や専門家へ尋ねる内容が明確になります。
3.提供元の規約は、出力の権利と適用範囲を読みます
OpenAIの利用規約には、出力に関する権利・権原・利益を同社が持つ場合、それらを利用者へ譲渡する旨が記されています(確認日:2026-11-03)。 同じ規約には、出力は特有のものではない場合があり、他の利用者が同様の出力を受け取ることがあること、この譲渡は他の利用者の出力やサードパーティの出力には及ばないことも記されています。 この規約は、ChatGPTなど個人向けのサービスの利用に適用されると記されています。 AnthropicのCommercial Terms of Serviceにも、顧客の規約遵守を条件として、同社が持つ出力の権利・権原・利益があれば顧客へ譲渡する旨が記されています。
ここからは当社の整理です。規約を読むときは、現在使っている契約に適用される文書かを冒頭から確かめます。出力の権利を扱う箇所に加えて、入力に必要な許諾、禁止される利用、別の条件を参照する記載も確認の対象です。仕事で使うという目的と、契約の対象範囲を照らし合わせて読みます。
商用利用について調べるときも、「出力の権利が誰に帰属するか」「入力した素材をどう扱うか」「完成物をどこへ出すか」を別々の確認欄にするとよいです。規約の該当箇所を保存し、公的な資料で扱われる問いと取り違えずに、確認を進めます。
4.公開する文章や画像は、完成物を見て確かめます
公開前の確認では、指示文だけでなく、掲載する文章や画像そのものを手元に置きます。途中で人が書き換えたり、別の素材と組み合わせたりした部分も含め、最終的な形を見て確認するためです。
文化庁のチェックリストは、生成物の利用に先立ち、まず既存の著作物と類似していないかを確認することを求めています。 同資料は、生成自体を適法に行える場合でも、生成物を更に利用する際には著作権侵害を生じさせないか確認する必要があるとしています。
当社の整理としては、似ていると感じた箇所、比較した素材、気になった理由を具体的に残します。文章では特徴的な言い回し、画像では目立つ表現など、どの部分が気になったかを示せると、相談先も確認対象を把握しやすくなります。調べた範囲と、調べられなかった範囲も分けて記録します。
公開を担当する人へ渡す際は、生成されたままの内容と、掲載する完成物を区別できるようにします。掲載先が変わるときも、前の確認をそのまま引き継ぐと決めず、予定する用途を添えて確認し直す進め方が考えられます。
5.判断が残る部分は、資料をそろえて専門家に確認します
入力した素材と生成物の関係、公開に必要な許諾、自社の権利として扱える範囲などに迷いが残る際は、公式資料を示して専門家に確認します。公開準備の進み具合で可否を決めず、確認が済んだ部分と判断待ちの部分を区別しておくとよいです。
相談に向けて残す記録は、入力した素材、指示の内容、生成結果、人が加えた修正、使う予定の媒体です。あわせて、確認した規約の該当箇所と確認日、参照した公式資料、不明な点をそろえます。履歴をすべて渡すより、何を根拠にどこまで確認したかが分かる形に整理すると、問いを絞りやすくなります。
例えば、似ている表現が気になった場合は、対象箇所を示した完成物と比較対象を用意します。入力素材の許諾が分からない場合は、素材の入手経緯と利用条件の資料をそろえる整理です。疑問に応じて必要な資料をまとめ、判断が残る箇所の掲載は保留にするなど、次の対応も決めておきます。
6.確認表
公開・共有の前に、この表で確かめます。
| 確認 | 確かめること |
|---|---|
| □ | 入力する文章や画像の出所と、許諾を確認した資料をそろえたか |
| □ | 利用中の契約に適用される規約と、入力・出力に関する条件を読んだか |
| □ | 学習、生成・利用、生成物の権利についての問いを分けたか |
| □ | 掲載する完成物を見て、既存の作品との関係を確認したか |
| □ | 入力した素材、指示、生成結果、修正の経緯を残したか |
| □ | 判断が残る箇所を整理し、専門家に確認する対象を決めたか |
7.自社の事務の手順まで形にしたいとき
ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。
自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、30分の無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。
出典(確認日:2026年11月3日)
- AIと著作権について|文化庁:案内ページに掲載されている「考え方」の題名と日付
- 文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」【概要】:3頁。開発・学習段階と生成・利用段階の区分、生成物の著作物性という別の論点
- AIと著作権に関する考え方について:表紙の資料の位置付け。法的拘束力と確定的な法的評価に関する留意点
- AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス:18・20頁。入力に関する規約の確認、利用前の類似性の確認、生成と利用で判断が異なり得ること
- Terms of Use|OpenAI:ContentのOwnership of content。出力に対して同社が有する権利の譲渡条項。日本語版とも照合
- Commercial Terms of Service|Anthropic:B. Customer Content。規約遵守を条件とする出力の権利の譲渡条項
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