労災指定病院の療養給付請求書、会社がそろえる資料と証明内容

要点

療養補償給付の請求書は、本人の情報と災害の状況などをそろえ、受診先の指定病院等を経由して所轄の労働基準監督署長へ提出する書類です。会社は証明内容の確認と資料の準備を進め、本人へ渡す日と、その後に誰が受診先へ届けるかまで決めておくとよいです。

公開:2026年11月5日/情報の確認日:2026年11月5日(出典はこの記事の最後)

この記事は、従業員が労災指定病院で受診した小さな会社の担当者が、療養の給付請求書の様式と会社が証明する内容を公式資料で確かめ、資料をそろえて本人へ渡すまでの流れをまとめたものです。

公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月5日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。

例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。

1.受診先の名前だけで様式を決めない

確認日:2026年11月5日。

厚生労働省の様式一覧では、業務災害用・複数業務要因災害用は様式第5号です。通勤災害用は様式第16号の3です。受診の連絡を受けた担当者は、本人から聞いた経緯を残し、使う書類について案内を受けた先と、その内容を記録します。

様式第5号の正式名称は「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書」です。番号だけを口頭で伝えるより、書類名も含めて本人と共有する方が、用紙の取り違えに気づきやすくなります。災害の区分や適用の判断は、専門家に確認します。

2.会社の証明に必要な事実を集める

労働者災害補償保険法施行規則第12条が定める請求書の記載事項は、本人の氏名・生年月日・住所、事業の名称・事業場の所在地、負傷又は発病の年月日、災害の原因・発生状況、給付を受けようとする指定病院等の名称・所在地、本人が複数事業労働者である場合はその旨です。業務災害の請求では、負傷又は発病の年月日と災害の原因・発生状況について、災害発生事業場の事業主の証明を受けなければなりません。本人の説明と社内の記録が食い違う箇所は、どちらかに合わせて書き換える前に、説明した人と確認できた資料を分けて整理します。

同規則第23条では、事業主は、本人から給付を受けるために必要な証明を求められたときは、すみやかに証明しなければならないとされています。事故のため本人が自分で請求その他の手続を行うことが困難な場合、事業主は、手続を行えるよう助力しなければなりません。

様式第5号の裏面の注意事項では、⑱欄には災害発生の事実を確認した人を、確認した人が多数のときは最初に発見した人を記載することになっています。㉒「その他就業先の有無」欄に記載がない場合又は複数就業していない場合は、複数事業労働者療養給付の請求はないものとして取り扱われます。本人に確認を頼んだ項目は、返答待ちのまま転記を終えたことにしない扱いにします。

3.集める資料と受け渡す担当を分ける

ここからは当社の整理です。

準備する資料を、情報を持っている人ごとに分けると、担当者だけで埋めようとする状態を避けやすくなります。次の表は社内で用意する資料の整理方法であり、提出時の添付書類を定めたものではありません。

用意する時点主に確認する人手元にそろえるもの次へ渡す内容
受診の連絡を受けたとき本人と受付担当者受診先の名称・連絡先、本人から聞いた経緯受診先と案内された書類
下書きに入るとき総務の担当者会社の名称・所在地を確認できる既存の書類転記した会社情報と確認元
事実関係を整理するとき本人と現場の確認者事故の報告、作業内容、確認した人の記録説明が一致する箇所と、確認を続ける箇所
証明を依頼するとき担当者と証明を行う人本人に確認した内容と下書き証明する内容、確認が必要な点
本人へ返すとき担当者と本人受け渡す書類と手元の控え受け渡し日、届ける人、問い合わせへの対応担当

既存の報告に書かれている内容も、本人が説明した内容と区別して扱います。現場の状況が十分に分からない担当者が、空欄をなくすために原因を補うと、あとで説明の出どころが分からなくなります。下書きの外に確認待ちの項目を置き、返答が来たら該当箇所と照らし合わせる進め方です。

本人へ書類を渡したあとも、届ける役割が決まっていなければ受け渡しは途中です。控えには、渡した相手と次に行うことを残し、書類を用意した状態と受診先へ届いた状態を区別すると、担当者が替わっても状況を追いやすくなります。

4.届ける経路と費用の請求を混同しない

施行規則では、療養補償給付の請求書は、指定病院等を経由して所轄労働基準監督署長に提出することになっています。会社から本人へ返す際は、受診先への提出方法と、誰が届けるかを共有します。

厚生労働省の「労災保険請求のためのガイドブック」(日本で働く外国人向けの第二編・日本語版、巻末の表示は(R7.2))では、療養の給付は現物給付であることから請求権の時効は問題とならない一方、療養の費用には時効があると説明されています。今回用意する書類と、いったん支払った費用について用意する書類は、名称を照合してから扱います。

社内で書類を渡す予定日は、法令上の期限と区別して記録します。本人の受診予定や証明を依頼する人の在席状況を踏まえ、書類がどこで止まっているかが分かる形にしておくとよいです。支払済みの費用の処理方法は、ここでは扱いません。

5.証明や区分で迷ったときの確認先

厚生労働省の請求手続の案内では、これから請求をする人の問い合わせ先として労災保険相談ダイヤルが示され、請求書の記載方法・支給要件・給付内容など一般的な制度についての問い合わせはこちらとされています。同じ案内では、すでに請求をしている人は、所轄の労働局又は労働基準監督署へ照会するよう案内されています。

厚生労働省の療養給付のパンフレットでは、会社の廃止や証明の拒否などで事業主証明が得られなくても労災請求はでき、最寄りの都道府県労働局又は労働基準監督署へ相談できると案内されています。業務中か移動中かという経緯だけで社内の担当者が区分を確定せず、本人の説明と記録をそろえて専門家に確認します。問い合わせた内容と回答は、書類の下書きとは別に残すとよいです。

6.確認表

公開・共有の前に、この表で確かめます。

確認確かめること
□受診先と、案内された書類名を本人と共有したか
□本人の情報と会社情報を、確認元に照らして整理したか
□発生の経緯と、事実を確認した人を整理したか
□本人への確認待ちの項目を、転記済みの項目と区別したか
□証明する人が、対象となる内容を確認したか
□書類を渡す日、届ける人、受診先での扱いを共有したか
□控えと、受け渡し・問い合わせの記録を残したか

7.自社の事務の手順まで形にしたいとき

ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。

自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、初回無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。

出典(確認日:2026年11月5日)

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