スキャンした紙の原本を捨てる前に、誰へ何の要件を確認するか
要点
当社の整理では、紙の原本を捨てる前に、経理担当が対象書類と保存の経緯を整理し、管理担当が保存環境を確かめ、その資料をそろえて専門家に確認します。国税庁の一問一答が示す条件(最低限の同等確認、入力期間、保存の要件)に自社の書類が当たるかは、この記事では判断しません。社内では紙と画像を照合し、確認済みの範囲と保留事項を記録します。担当者の作業完了だけで廃棄を進めず、責任者が回答と対象書類を突き合わせる流れにするとよいです。
この記事は、スキャンした紙の原本を捨てる前の確認を整理したい小さな会社の経理・総務の担当者が、紙と画像の照合、入力期限、保存環境、専門家への質問をそろえる流れをまとめたものです。
公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月3日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。
例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。
1.まず書類の種類と保存の経緯をそろえる
国税庁の公開一覧には、電子帳簿保存法一問一答のスキャナ保存関係として、令和8年7月版が掲載されています。 同資料で扱うスキャナ保存制度は、取引先から受け取った請求書や自社で作成したその写しなどの国税関係書類について、決算関係書類を除き、一定の要件の下で紙に代わる保存を認める制度です。
公式資料の確認日:2026-11-03。以下の公式資料に基づく記述は、この日に開いて読んだ内容の要約です。
紙からスキャナ保存に代える日前に作成・受領した重要書類については、所轄税務署長などへの適用届出書の提出と、一定の要件の下で保存できる旨が示されています。
ここからは当社の整理です。相談の準備では、「スキャン済みの紙」というまとめ方を避け、書類の種類、受け取った経緯、画像の保存先、保存方法を変えた時点を控えます。過去から保管している束と、日々受け取る書類も、混ぜずに示すと相談対象が伝わりやすくなります。
書類名だけで区分を決めず、実物と現在の運用を並べる形です。会社で使っている呼び名と紙に記載された題名の違いも控えておくと、別の書類について回答を受ける行き違いを減らせます。相談後の回答を、説明していない書類にまで広げないことも大切です。
2.紙と保存画像を並べ、照合した範囲を残す
公式資料にある「最低限の同等確認」は、画像の記録事項と紙の記載事項を比較し、折れ曲がりなどの有無も含めて同等であることを確かめることです。 同じ資料の問3(スキャナ保存を適用している場合の紙の廃棄)は、令和4年1月1日以後に保存を行う国税関係書類について、入力期間を経過した場合(問30のようなケースを除く)を除き、スキャナで読み取って最低限の同等確認を行った後であれば、即時に廃棄して差し支えないとしています。 自社の書類がこの前提に当たるか、入力期間を守れているかは、この記事では判断せず、専門家に確認します。
当社の整理では、照合担当は、紙と保存先の画像を並べ、記載全体の欠け、折れで隠れた部分、裏面の取り込み漏れ、文字の読みにくさを見ます。読み取った直後の画面だけで終わらず、保存先から画像を開き直す進め方です。
確認記録には、対象の紙を特定できる情報、対応する画像の場所、照合者、照合日、見つかった不備、直した後の確認結果を残すとよいです。これは社内で確認の経緯を追うための提案です。記録を付けたことだけを、制度上の要件を満たした証明として扱う趣旨ではありません。
照合を終えた紙と、読み直しが残る紙は置き場を分けます。確認の途中で担当を交代する際も、未確認の箇所を紙と画像の両方からたどれる状態にしておくと、作業の続きを引き継ぎやすくなります。
3.入力期限と保存環境を別々に確認する
公式資料では、スキャナ保存に当たり、真実性や可視性を確保するための要件を満たす必要があるとされています。 また、入力期間を誤って過ぎた書類は、その他の保存要件に沿って入力するとともに、紙のまま保存する扱いです。
同資料は、入力期間内に読み取りを終えるだけでなく、タイムスタンプが付いた状態、又は訂正・削除の履歴等を確認できるシステム(訂正・削除ができないものを含む)へ格納した状態にする必要があると説明しています。
当社の整理では、経理担当は、書類を受け取った日、読み取った日、保存先へ登録した日を整理します。採用している入力方式と、その方式でどの時点までに何を終える必要があるかを、専門家への質問に含めます。相談時は、日付の分からない箇所を推測で埋めず、記録が残っている範囲を示す形がよいです。
利用するソフトの要件適合性が分からない場合、公式資料は、取扱説明書などで確認するよう案内しています。 さらに、機能以外にもシステム関係書類の備付けなどの要件があり、それらを含め全ての要件を満たす必要があると注意を示しています。
当社の整理では、管理担当は、利用中の保存先と説明書をそろえ、どの設定で運用しているかを示します。提供元への質問は、説明書の記載場所や設定の確かめ方に絞り、税務上の扱いは専門家に確認します。説明書の記載と自社の運用を対応付け、回答待ちの項目を残しておく進め方です。
4.担当ごとに、用意するものと確認時点を分ける
廃棄前の準備を担当別に並べると、誰の回答を待っているのかが見えます。次の表は担当の分け方の例です。社内の兼務に合わせて、担当欄を埋めて使うことを想定しています。
| 担当 | 確認する時点 | 用意するもの | 確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 経理担当 | 対象を選ぶとき | 書類の実物、受領と保存の経緯 | 相談対象に漏れや混在がないか |
| 照合担当 | 紙を手元に残している間 | 原本、保存画像、照合記録 | 欠けや折れ、取り込み漏れがないか |
| 保存環境の管理担当 | 照合と並行して | 説明書、設定内容、保存先の情報 | 説明と現在の運用が対応しているか |
| 専門家へ相談する担当 | 社内の資料がそろったとき | 対象書類と経緯、質問事項 | 個別の扱いと追加確認事項は何か |
| 社内責任者 | 廃棄を進める前 | 回答、対象一覧、保留事項 | 回答の対象と処理する紙が一致するか |
担当者の名前と確認予定日を付け、照合中、回答待ち、社内確認待ちの状態を分けておくとよいです。回答は結論だけでなく、説明した書類、示した保存方法、回答の前提まで残します。異なる条件の書類が紛れ込んでも、元の相談対象との違いをたどれるためです。
5.判断が残る紙は、質問を絞って相談へ持ち込む
制度に関する一般的な相談は、国税庁の特設サイトから電話相談窓口へ案内されています。 書類や事実関係の確認が必要で電話相談などでは解決が難しい相談については、所轄の税務署で面接相談を受け付けています。 面接相談は、電話で相談日時などを事前に予約する案内です。
同じ資料の問3は、印紙税の過誤納還付申請には、過誤納となった事実を証するため必要な文書(原本)の提示が必要で、スキャナデータに基づいて還付を受けることはできないと注意しています。
当社の整理では、「この紙は捨ててよいか」だけで終えず、対象書類、保存を始めた経緯、照合した内容、日付の記録、保存環境を示して、専門家に確認します。社内責任者には、税務以外の目的で原本を残す必要があるかも、確認事項として渡す形です。
回答がそろうまで、該当する紙の処理は保留にします。確認済みの書類と同じ束に戻すと、保留理由が分からなくなるため、対象と理由を対応付けて管理するとよいです。回答を受けた後は、追加で調べる項目と社内で処理を進める範囲を分け、責任者が確認する流れにします。
6.確認表
公開・共有の前に、この表で確かめます。
| 確認 | 確かめること |
|---|---|
| □ | 対象書類の実物と、受領・保存の経緯をそろえたか |
| □ | 紙と保存画像を並べ、欠け・折れ・取り込み漏れを確かめたか |
| □ | 照合者、照合日、不備への対応を記録したか |
| □ | 採用した入力方式と期限、入力を終えた時点を確認したか |
| □ | 保存環境の説明書と現在の運用を対応付けたか |
| □ | 専門家への質問、回答の前提、保留事項を残したか |
| □ | 社内責任者が回答の対象と処理する紙を突き合わせたか |
7.自社の事務の手順まで形にしたいとき
ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。
自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、30分の無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。
出典(確認日:2026年11月3日)
- 電子帳簿保存法一問一答(Q&A):掲載されているスキャナ保存関係資料の版
- 電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和8年7月):制度の対象、開始前の重要書類、同等確認、保存要件、入力完了の状態と期間超過、説明書と機能以外の要件。問1・2・3・10・
- 電子帳簿等保存制度特設サイト:制度の一般的な相談先への案内
- 国税に関するご相談について:個別の事実確認が必要な場合の面接相談と事前予約
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