会社の事務所が移転したら労働保険の変更届はどの窓口へ出すか
要点
会社の事務所を移転したときの届出先は、移転後の所在地を管轄する労働基準監督署やハローワークです。区分(一元適用事業・二元適用事業)ごとの窓口と届出の順序を確認し、準備する担当者と、返ってきた控を受け取る担当者をつないで進めます。
この記事は、事務所の移転が決まった小さな会社の担当者が、労働保険と雇用保険の変更届をどの窓口へどの順で出すかと、提出後の控の扱いを確かめる流れをまとめたものです。
公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月5日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。
例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。
1.移転日を起点に、届出の準備を始める
確認日:2026年11月4日
所在地が変わったときは、「労働保険名称、所在地等変更届」と「雇用保険事業主事業所各種変更届」を、変更のあった日の翌日から起算して10日以内に提出する案内があります。日付を整理するときは、引越しの準備を始めた日と、実際に変更した日を混ぜずに記録するとよいです。担当者の予定表には、書類を用意する日だけでなく、提出先へ不明点を問い合わせる時間も入れておきます。
窓口を調べる起点は、新しい住所です。徳島労働局の「事業所に関する手続き」は、所在地変更時の手続き先を移転後の管轄と案内しています。これまでの控に書かれた宛先をそのまま転記せず、移転先の住所をもとに確認する流れにします。建物名や部屋番号の表記も社内でそろえておくと、別々の担当者が異なる住所を書いてしまうことを避けやすくなります。
2.区分ごとに移転後の提出先を分ける
東京ハローワークの「適用事業所に関するQ&A」では、一元適用事業と二元適用事業に分けて、移転後の提出先と順序を案内しています。
一元適用事業の場合
一元適用事業では、先に移転後の所在地を管轄する労働基準監督署へ「労働保険名称、所在地等変更届」を提出します。その後、移転後の所在地を管轄するハローワークへ「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出する流れです。担当者が途中で交代する場合は、先の提出が済んだことを、後の提出を担当する人へ引き継ぎます。
二元適用事業の場合
二元適用事業の労災保険については、移転後の所在地を管轄する労働基準監督署へ「労働保険名称、所在地等変更届」を提出します。雇用保険については、移転後の所在地を管轄するハローワークへ「労働保険名称、所在地等変更届」と「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。宛先と書類を対応させて管理し、片方の提出を終えた段階で全体を完了扱いにしないようにします。
自社の区分が分からない場合は、現在保管している控を用意し、窓口や専門家に確認します。
3.添付書類と提出済みの控を混同しない
厚生労働省の「雇用保険事務手続きの手引き」(第1編 適用事業所編)は、表紙に令和8年8月版と記載されています。
同手引きの一元適用事業の案内では、先に提出した「労働保険名称、所在地等変更届」の控を添えて、「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。提出する書類を作る作業と、返却された控を受け取って保管する作業を、担当表で分けておくとよいです。提出した人から口頭で完了を聞くだけでなく、控の置き場所も共有します。
同手引きでは、雇用保険事業主事業所各種変更届の添付書類は原則不要とされていますが、内容確認のため、登記事項証明書などの変更の事実が確認できる書類の添付を求めることがあるとされています。労働保険名称、所在地等変更届の添付書類については、各提出先に確認するよう案内しています。また、厚生労働省の法令等データベースに掲載された「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則」の変更事項の届出の条(第五条)では、所轄の労働基準監督署長または公共職業安定所長が、必要と認めるときには、事業主に対し、登記事項証明書などの確認できる書類の提出を求めることができるとされています。確認のために求められる書類と、次の提出に添える控を別の欄にすると、何を待っているのかが見えやすくなります。
4.社内では準備・提出・返却待ちをつなぐ
ここからは当社の整理です。
担当を決める際は、届出書を作る人に加え、変更日と住所の内容を確認する人、提出後の連絡を受ける人も決めておきます。同じ人が兼ねる場合も、作業の状態を分けて記録すると、後から状況を読み取りやすくなります。
| 作業の場面 | 担当の決め方 | そろえる情報・残す記録 |
|---|---|---|
| 移転内容が固まったとき | 移転を取りまとめる人 | 変更日、旧住所、新住所、住所を確認した資料 |
| 提出先を調べるとき | 届出の準備を進める人 | 確認した窓口、連絡先、確認した日、不明点への回答 |
| 書類を用意するとき | 作成する人と内容を見る人 | 記載内容、窓口から案内された書類、提出予定日 |
| 提出したとき | 提出した人 | 提出日、提出先、提出した内容、追加の依頼 |
| 控が返ってきたとき | 受け取って保管する人 | 受取日、保存場所、次の担当者へ渡した状況 |
準備中・提出済み・追加対応中・控の受取済みのように状態を分けると、作成が終わっただけのものと、窓口へ提出したものが混ざりにくくなります。外部へ依頼している作業も、相手に渡した日と、返事を受けた日を残します。
提出後に追加の依頼があった場合は、届いた連絡を保存し、回答する担当者と回答予定日を追記します。やり取りの途中で担当が替わっても、どの問い合わせに何を返したかをたどれる形がよいです。引越し後の片付けと並行する時期には、紙の控を一時的に置く場所も共有しておきます。控が返ってくるまでに担当が替わる場合は、返却物を受け取る人と保管先を引き継ぎます。差し替えた書類があるときは、提出した版を区別できる名前で保存すると、後の確認に使いやすくなります。
5.迷う点は住所と現在の届出状況を添えて確認する
厚生労働省の手引きの表紙には、不明な点はハローワーク(公共職業安定所)の雇用保険窓口に尋ねるよう案内があります。問い合わせるときは、旧住所と新住所、変更日、すでに提出した書類、追加で求められたものを手元にそろえるとよいです。何も提出していない状態なのか、控の返却を待っている状態なのかも伝えます。
労働保険事務組合に手続を委託している場合は、まず委託先へ連絡するよう、厚生労働省の手引きに案内があります。社内と依頼先で別々に準備を進める前に、どこまでを誰が担当するかを共有します。
業種区分や届出の要否など、個別の判断は専門家に確認します。相談後は、確認した相手、回答内容、追加で行う作業を残し、問い合わせをした段階と回答を得た段階を区別して管理するとよいです。
6.確認表
公開・共有の前に、この表で確かめます。
| 確認 | 確かめること |
|---|---|
| □ | 変更日と、変更前後の住所を整理したか |
| □ | 現在の区分を控で確認し、不明点を窓口や専門家に確認したか |
| □ | 移転後の住所をもとに提出先を確認したか |
| □ | 届出ごとの期限と提出予定日を担当者で共有したか |
| □ | 添える控と、確認のために求められた書類を分けて用意したか |
| □ | 提出日、追加対応の有無、控の受取状況と保存場所を記録したか |
7.自社の事務の手順まで形にしたいとき
ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。
自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、初回無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。
出典(確認日:2026年11月5日)
- 東京ハローワーク「適用事業所に関するQ&A」:Q2の所在地変更時の期限、一元適用・二元適用それぞれの提出先と順序。
- 徳島労働局「事業所に関する手続き」:移転後の管轄窓口で手続きすること。
- 厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き」(第1編 適用事業所編・令和8年8月版):移転後の提出先と順序、控の添付、添付書類、問い合わせ先、委託先への連絡。該当箇所は冊子の表紙・17・29頁。
- 厚生労働省「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則」:第五条第三項の、内容確認のため書類の提出を求めることができる旨。
関連する記事・ページ
- 業務効率化・業務改善は何から始める?
- 社名や所在地を変更した会社は社会保険の変更届をどの窓口へ出すか
- 事務所移転で郵便の転居届を誰がどう出すか
- 初めて従業員を雇った会社の労働保険の届出順序と窓口・期限
- e-Govの申請先を選ぶとき前回の提出先を確認する手順
このページの確かめ方は、情報の確かめ方と更新の方針にまとめています。