漏えい時の本人通知、承認された内容を届けて記録を残す手順

要点

本人への通知は、通知すべき内容が本人に認識される合理的かつ適切な方法によらなければならない、と通則編に示されています。事務では、責任者が承認した文面・対象者・方法・実施予定をそろえ、送付の控えと届かなかった相手の記録を結びつけます。通知の要否や内容の承認は責任者が担い、担当者は承認された範囲と送付結果を照合する進め方です。

公開:2026年11月5日/情報の確認日:2026年11月4日(出典はこの記事の最後)

この記事は、個人情報の漏えいで本人への通知を行うことが決まった小さな会社の担当者が、責任者の承認した内容を届け、送付と不達の記録を残す流れをまとめたものです。

公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月4日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。

例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。

1.通知の時期と内容を公式資料で押さえる

個人情報保護委員会の通則編では、個人情報取扱事業者は、報告対象事態を知ったときは、当該事態の状況に応じて速やかに、本人への通知を行わなければならないとされています。通知すべき事項は、「概要」「漏えい等が発生し、又は発生したおそれがある個人データの項目」「原因」「二次被害又はそのおそれの有無及びその内容」「その他参考となる事項」に限られています。これらの事項が全て判明するまで本人への通知をする必要がないというものではない、とされています。

本人通知には法令上の決まった様式はなく、本人にとって分かりやすい形で通知を行うことが望ましいとされています。通知の方法の例として、郵便等での文書送付と電子メールの送信が挙げられています。「漏えい等の対応とお役立ち資料」のページでは、そこにある入力フォームは、個人情報取扱事業者や行政機関等が個人情報保護委員会に対して漏えい等事案の報告に使用するためのもの、と案内されています。

ここで扱うのは、通知を行う方針が決まった後の事務です。通知文のひな形を作る作業や、通知が必要かどうかの個別の判断は扱いません。送付準備の途中で生じた疑問は、責任者へ戻せるようにします。

2.送付前に承認版と宛先の組合せを照合する

通則編は、本人の権利利益を保護するために必要な範囲において通知を行う事例として、漏えい等が発生した個人データの項目が本人ごとに異なる場合に、当該本人に関係する内容のみを本人に通知することを挙げています。

ここからは当社の整理です。承認された文面だけでなく、その文面を誰に送るかを対応づけます。担当者が手元で表現を整えた版と、責任者が承認した版が混ざることを防ぐため、送付に使う文面の版名と承認の記録をそろえます。

照合するのは、宛先の氏名と連絡先、使う文面、添付する資料、通知方法、実施予定です。本文と添付を別々に準備する作業では、添付だけが以前の内容のまま残りやすくなります。送付直前の確認対象には、添付資料も含めるとよいです。

確認を終えた対象者の一覧と、まだ照合が済んでいない一覧を分け、送付の対象範囲を見える形にします。送付準備中の疑問や変更案は、承認版へ直接書き込まず、確認事項としてまとめます。責任者から回答を受けた後は、修正した文面と再承認の記録をそろえる運用です。

3.誰がいつ何を残すかを送付前にそろえる

以下は社内で役割を分けるための手順表です。兼務する小さな会社でも、準備・承認・送付・結果確認のどこまで終えたかを区別して残します。別の担当者への引き継ぎにも使えるよう、担当者名と資料の置き場所を対応づけるとよいです。

場面担当する役割用意・確認するもの残す記録
送付の準備事務担当者対象者の一覧、宛先、文面と添付資料照合した資料、未解決の確認事項
実施前の承認責任者文面の版、対象範囲、方法、実施予定承認者、承認日時、承認した範囲
送付の実行送付担当者承認済みの組合せと送付対象送った日時・相手・方法、送付物の控え
結果の確認事務担当者送信結果、返送、返信など確かめた状態、根拠となる記録
残件の引き継ぎ事務担当者と責任者不達、返送、問い合わせ、修正の必要性次の対応、担当者、確認予定

送付前の記録と送付後の記録は、同じ対象者をたどれる形にそろえます。担当者の手元のメモだけに結果を残すと、一覧を見ても未対応の相手が分かりません。責任者が残件を把握できる置き場所を決めておく方法が考えられます。

4.送った記録と届いたことの確認を分ける

送付の控えには、実際に送った文面と添付資料を残します。後から文面を更新しても、過去にどの内容を送ったかを確認できるよう、送付済みの控えと修正中の資料の置き場所を分けます。送付対象の一覧には、宛先だけでなく、使用した版も対応づけるとよいです。

送信操作を終えたこと、配達に関する情報を確かめたこと、本人から返答を受けたことは、それぞれ記録する内容が異なります。「完了」の表示だけでまとめず、どの状態を何によって確認したかを記します。送信済みの記録や配達に関する情報、本人からの返信など、確認に使った資料へ戻れる形にする考え方です。

不達や返送は、送付済みの一覧から消さずに、次の対応が必要な相手として残します。確認した日時、分かった事情、責任者へ伝えた内容、次に対応する担当者を結びつけます。再送の前には、宛先と送付物の組合せを改めて照合する運用が考えられます。

問い合わせを受けた担当者も、承認された説明と、その場で回答できず持ち帰った事項を分けて記録します。新たに分かった事実や文面の修正案は責任者へ集め、次の説明に使う内容をそろえる進め方です。記録の閲覧者や保存場所も社内で定め、対象者の情報を含む一覧の共有先を整理しておきます。

5.届かない相手への対応と判断事項を引き継ぐ

通則編では、本人への通知が困難である場合は、本人の権利利益を保護するために必要な代替措置を講ずることによる対応が認められる、とされています。具体的に通知を行う時点は、その時点で把握している事態の内容、通知を行うことで本人の権利利益が保護される蓋然性、本人への通知を行うことで生じる弊害等を勘案して判断する、と通則編に示されています。

不達の記録を渡す際は、連絡を試みた経過と、その結果をまとめます。担当者は、別の連絡手段の利用や説明内容の変更を独断で進めず、責任者に確認する運用とします。相談へ持ち込む資料も、承認した内容、送付した内容、その後に分かった事情を分けると、確認すべき点が伝わりやすくなります。

個人情報保護法相談ダイヤルの案内では、ガイドラインやQ&Aに記載がない相談、個人情報保護法に規定がない相談、個人情報保護法への適法性・違法性の判断を求める相談には応じていないとされています。個別の法的判断は専門家に確認します。

6.確認表

公開・共有の前に、この表で確かめます。

確認確かめること
□承認された文面の版・対象者・方法・実施予定を照合したか
□宛先ごとに、送る文面と添付資料の組合せを確認したか
□実際に送った内容の控えと、日時・相手・方法を記録したか
□送付の操作と、その後に確認できた状態を分けて記録したか
□不達・返送・未回答の確認事項を、担当者と次の対応に結びつけたか
□修正案や追加の説明を責任者へ戻し、承認の記録をそろえたか
□判断が要る事項を整理し、専門家への確認事項を明らかにしたか

7.自社の事務の手順まで形にしたいとき

ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。

自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、初回無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。

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