設計契約の重要事項説明に何をそろえる?図書と担当建築士の資料

要点

そろえるのは、作成予定の図書を確定した資料、担当者の資格情報、報酬・支払時期・解除条件を確かめる資料です。対象建物や事務所の情報、外部へ任せる業務の有無も担当者に確認します。元資料と説明用の書面を対応させ、説明する人の準備と、交付した版の控えまで引き継げる形に整えます。

公開:2026年11月6日/情報の確認日:2026年11月6日(出典はこの記事の最後)

この記事は、設計受託契約や工事監理受託契約の前に重要事項説明の書面を準備したい建築士事務所の事務担当者が、建築士法の記載事項に合わせて元の資料と担当者の情報をそろえる流れをまとめたものです。

公式ページ・公式ヘルプなどの一次資料を2026年11月6日に確かめました。機能や制度は変わることがあるので、使う前に各ページで最新の状態を確認してください。法律・税務・労務の判断や、効果を約束するものではありません。

例は説明のための架空の例です。確認表や作例は、当社の考えをまとめたもので、公式の機関が示しているものではありません。

1.契約前の説明と、説明する人の準備をそろえる

建築士法第24条の7第1項は、建築士事務所の開設者が設計受託契約又は工事監理受託契約を建築主と締結しようとするときは、あらかじめ、管理建築士その他の当該建築士事務所に属する建築士(管理建築士等)に、同項各号の事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならないと定めています。同条第2項は、管理建築士等が説明をするときは、建築主に対し、一級・二級・木造の建築士免許証又は建築士免許証明書を提示しなければならないと定めています。同条第3項では、建築主の承諾を得て、書面の交付に代えて、国土交通省令で定める情報通信の技術を利用する方法で書面に記載すべき事項を提供することもできるとしています。神奈川県の案内では、重要事項説明の様式は任意とされています。

事務の準備では、書面を整える担当と説明を行う担当を、予定表でも分けて控えるとよいです。書面の作成予定だけを置くと、説明する人の都合や、提示するものの準備を追いにくくなります。内容の確認、書面の確定、説明の予定が、契約に向けた社内の段取りとしてつながっているかを見ます。

担当者情報は、説明を行う人と業務を担当する人を区別して集めます。同じ人が担う予定でも、それぞれの役割を確認した記録を残しておけば、担当が変わった際に見直す箇所を探しやすくなります。

2.図書・担当者・契約条件を記載事項に対応させる

建築士法第24条の7第1項第1号では、設計受託契約で作成する設計図書の種類が書面の記載事項です。工事監理受託契約では、工事と設計図書との照合の方法と、工事監理の実施の状況に関する報告の方法が記載事項です(同項第2号)。準備する図書の一覧には、担当者が確定した名称と対象業務を残し、過去の案件の一覧だけで内容を決めないようにします。

業務に従事する建築士の氏名、一級・二級・木造建築士の別、構造設計一級建築士又は設備設計一級建築士である場合はその旨も記載事項です(同項第3号)。同項第6号の国土交通省令で定める事項は、建築士法施行規則第22条の2の2により、同規則第17条の38第1号から第6号までに掲げる事項とされています。業務に従事する建築士の登録番号も記載事項です(同条第4号)。業務に従事する建築設備士がいる場合は、その氏名も記載事項になります(同条第5号)。氏名の控えだけで済ませず、資格情報の確認元と、今回の担当範囲を結び付けておくとよいです。

報酬の額と支払の時期、契約の解除に関する事項も書面に記載すべき事項です(法第24条の7第1項第4号・第5号)。金額や文言を事務担当者が補うのではなく、責任者が確定した見積内容や契約案の該当箇所を受け取る流れにします。

建築士事務所の名称・所在地と、一級・二級・木造建築士事務所の別も記載事項です(施行規則第17条の38第1号)。開設者の氏名、法人の場合は法人の名称と代表者の氏名も記載事項になります(同条第2号)。設計受託契約又は工事監理受託契約の対象となる建築物の概要も記載事項です(同条第3号)。社内の案件名と書面上の対象が一致するか、基本情報の確認元もそろえます。

設計又は工事監理の一部を委託する場合は、委託する設計又は工事監理の概要、受託者の氏名又は名称、受託者に係る建築士事務所の名称と所在地が記載事項です(同条第6号)。外部へ任せる予定は、連絡先の一覧だけで確認を終えず、委託する範囲まで担当者に確かめます。

3.元資料から説明用の書面、交付控えまでつなぐ

ここからは当社の整理です。

社内の管理表は、記載内容そのものよりも、確認元と引き継ぎ先をつなぐ形にします。次の表は、準備する資料のまとめ方を示したものです。書類の名称を一律に決めるのではなく、実際に内容を確定した資料を対応させます。

元の資料・記録説明用の書面へつなぐ内容確認する人交付後に残すもの
作成する図書の一覧、業務範囲の確定記録図書の名称と対象業務内容を確定した担当者使用した一覧と交付版の対応
照合と報告の方法を確定した資料照合の方法、報告の方法方法を決めた担当者確定した内容の所在
担当者と資格情報の確認資料担当する人と資格の表記本人と担当配置の責任者確認した情報と書面の対応
見積内容、支払予定、契約案報酬、支払時期、解除の記載契約内容の責任者採用した版と該当箇所
事務所と開設者の情報、対象建物の資料基本情報と建物の概要基本情報を管理する担当者確認元の保存先
外部への委託範囲と相手方の情報任せる業務と委託先の情報委託内容の責任者確定した範囲と連絡記録

元資料の保存先は、ファイルを開ける場所まで控えます。メールで届いたものは、本文と添付のどちらで内容が確定したかも分かる形にすると、転記後の照合に使えます。作成途中の資料と確定した資料には、状態の違いを残します。

交付した書面の控えには、使った元資料の版、確認者、交付先、交付した日を結び付けます。社内で保管する控えと、内容を検討していた途中の資料が混ざらない置き方にするとよいです。

4.確認待ちの箇所は、説明予定からさかのぼって渡す

準備の進み具合は、資料を受け取った状態、内容を確認中の状態、書面に反映して照合した状態に分けます。受領しただけで確認済みとすると、確認者に届いていない資料も作業が終わったように見えてしまいます。

不足の連絡には、該当する欄、必要な資料、確認する人、回答を受けたい社内の期日を添えます。説明の予定からさかのぼって余裕を置き、回答を受けた後に書面と照合する作業も予定に含めます。これは準備を進めるための社内の段取りです。

空欄の意味は、未回答なのか、担当者が記載の要否を確認しているのか、対象外と確認済みなのかで異なります。空欄だけを見て補わず、確認状況と回答者を控えるとよいです。担当が交代しても、誰に何を尋ねる段階かが伝わります。

差し替えがあった箇所は、更新した欄と再確認する相手を示します。元の資料だけを差し替えて書面が古いまま残らないよう、反映後の照合までを同じ記録で追います。

5.判断が必要な箇所を、根拠資料と一緒に引き継ぐ

記載範囲や契約条件の解釈に迷う箇所は、専門家に確認します。事務担当者が行うのは、食い違っている資料や回答待ちの箇所を示し、判断する人が元の記録に戻れるようにすることです。疑問点には、該当箇所と確認したい内容を添えて渡します。

制度の扱いは所管の窓口へ、図書の種類や担当範囲は内容を確定する担当者へ、契約の解釈は専門家へと、問いに応じた確認先を整理するとよいです。回答を得た後は、答えだけでなく、どの資料のどこへ反映したかまで控えます。説明する人へ渡す際には、書面の確定版と、解決していない問いを分けて引き継ぎます。

6.確認表

公開・共有の前に、この表で確かめます。

確認確かめること
□作成する図書と業務範囲を、担当者が確定した資料で照合したか
□照合と報告の方法を、今回の対象業務に合わせて確認したか
□担当する人の氏名・資格情報と、説明する人の準備を区別して確認したか
□報酬・支払時期・解除条件を、責任者が確定した版と照合したか
□事務所・開設者・対象建物・外部への委託について、確認元と回答者を記録したか
□確認待ちの箇所に、引き継ぐ相手と社内の期日を添えて整理したか
□交付した版と元資料の対応、控えの保存先を記録したか

7.自社の事務の手順まで形にしたいとき

ここまでの確認を、自社の事務の手順書や、AIの結果を確かめる検査まで形にしたい場合は、当社のように、手順と検査の設計まで行う相談先が選択肢になります。オンラインは全国から対応しています。

自社の事務のどこから確認を入れるかを相談したい場合は、初回無料相談をご利用ください。法律・税務・労務の判断や、効果の約束は行いません。

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